感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
31
比較的語られていない印象の沖縄北部(ヤンバル)の戦いを劇画化か。とは言え、1は32軍の高級参謀・八広博通大佐の動向、富山丸(沖縄への派遣軍乗船)、対馬丸(疎開小中学生が乗船)の撃沈の悲劇。10.10空襲の不手際あたりまでで北部の戦況動向は限定的。個人的には八広大佐の本音部分の描写等、興味深い点多数で劇画も読み易いのだけれど、沖縄戦のある程度の全貌がわからない人にとってどうなのかな…の思いも。2以降に期待。2025/03/17
おおかみ
9
46年生まれの著者は沖縄の戦後と同じぐらい生き、無数の戦争体験を聞いてきたのだろう。参考文献も多く、大きな歴史のシナリオでは語られることのない些細なエピソードの数々が、精緻な絵も相俟って迫真性を高める。本土で入手することの難しい作品だが、もっと広く読まれるべきだろう。軍上層部の丁々発止の議論があまりにも虚しい。富山丸撃沈、対馬丸事件、十・十空襲と、すでに大勢の犠牲を出したところで1巻が終わる。これだけ重厚なのに昭和20年を迎えてすらいない。本当の悲劇はこれからだと思うと胸が詰まる。2025/06/19