内容説明
宇宙の謎を解く観測装置「カミオカンデ」が設置された神岡町は、飛騨の山間にある小さな町です。ここでの実験は、二度にわたりノーベル物理学賞を受賞するという快挙を成し遂げ、一躍世界中にその名を轟かせることになりました。本書は、この神岡町を舞台にしたある姉妹の物語です。突然、事故で両親を失ったカナエとヒサエ。ふたりは、ある夜、満点の星空に両親の姿を見出します。それは、まるで両親が何かを語りかけてくれているかのようでした。星空から宇宙のこと、光や時間、宇宙の大きさなどなど、ふたりの興味はどんどん広がっていきました。そして「見えないものを見る」ための装置カミオカンデは、ふたりの心をさらに動かしました。やがて、たくさんの人たちとの心温まる交流を経て、姉妹は大きく成長していきます。
著者等紹介
松田悠八[マツダユウハチ]
1940年岐阜県生まれ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務を経てフリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪丸 風人
15
主人公はノーベル賞の受賞に貢献した観測装置「カミオカンデ」がある町の子どもたち。親を亡くした姉妹を軸にして、少年少女が素朴な疑問から生まれた謎に近づいていきます。妹を守るために生き方まで変える姉の決意が胸に迫りましたよ。彼らを見守り、ときに支えるハルバアもどこまでも魅力的でした。ニュートリノの話をかみ砕いて描写するくだりは、私自身、宇宙線のことをよく知らなかったので助かりました。国内にこれほど凄い施設があるのですね。しかもイタイイタイ病の元になった鉱山跡を活用した場所に。(対象年齢は12歳半以上かな?)2024/12/14
くま美
3
両親を事故で無くした姉妹の成長の物語りだが、想像していたのは、逆境からの物語りと思っていたら、宇宙観測装置「カミオカンデ」がある岐阜県の神岡町を舞台にノーベル賞物理学賞を受賞したニュートリノにまつわる話が盛り込まれた温かな小説。ニュートリノは黒豆忍者の表現が凄くわかりやす。あとがきを読んで、「イタイイタイ病」の歴史があったことを知りました。『過去の禍と新しい時代の息吹に心躍らせ姿勢も大切だと記している』2025/01/19
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