内容説明
ぼくたちは、戦争のない国を作ります。きっときっと、作ります。「日本は神国。絶対に勝ちます」と始まった太平洋戦争。南方を植民地にして豊かになるはずが、暮らしはみるみる貧しくなり…たった4年で大切なものも人も、いやおうなしに奪われていった田中幹夫少年の実話です。戦争体験を語れる最後の世代からこれからの日本をつくる世代へどうしても伝えたいこと。
著者等紹介
田中幹夫[タナカミキオ]
弁護士。1933年福井県生まれ。福井空襲、福井地震を体験。2003年、障害者虐待の「サン・グループ事件」で画期的な勝訴判決をかちとる。日本子どもの虐待防止学会名誉会員
寮美千子[リョウミチコ]
作家。1955年東京都生まれ。1986年に毎日童話新人賞、2005年に泉鏡花文学賞を受賞。1990年代、衛星放送ラジオ「セント・ギガ」に600編以上の詩を提供。幼年童話から絵本・純文学・ノンフィクションまで幅広く執筆
真野正美[マノマサミ]
画家。1958年大阪府生まれ。カーデザイナーとしてトヨタ自動車に勤務ののち、帯広市郊外に移住して画業に入る。六花亭が60年以上にわたって刊行している月刊児童詩誌『サイロ』の表紙画を坂本直行氏から引き継ぎ、2010年より担当。2017年、中札内美術村に「真野正美作品館」が開館した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Cinejazz
15
福井市の国民学校初等科に通う田中幹夫(この絵本の原作者)が、大東亜戦争(太平洋戦争)を知ったのは8歳のときだった。「先生、日本は勝てるのですか?」 「もちろんだよ。大日本帝国は神の国です。絶対に勝ちます」・・・。幹夫が6年生になった昭和19年、優しかった担任の先生に召集令状が届いた。「先生、いかないで!」 「先生は、みんなのために戦場にいくのです。 心配するな。 必ず帰ってくるから・・・」〟戦争体験を語れる最後の世代から、戦争を知らない世代に、どうしても伝えておきたいという思いから、この絵本が生まれた。2025/04/13
ヒラP@ehon.gohon
7
【再読】大人のための絵本2024/10/08
かりめろ
5
福井で子ども時代に戦争体験をした弁護士の自伝的小説を絵本化。大好きな先生を戦争にとられた子どもたちの「ありがとう、先生。ぼくたちは、戦争のない国を作ります。きっと、きっと作ります」に胸が詰まる。紙芝居が軍国教育に使われていたことを踏まえ、紙芝居も作られた。文を書いた寮氏のあとがきに「どうか絵本も紙芝居も、すり切れるまで存分に使い倒してください」とあるように、たくさんの教育現場で使ってほしい。月刊児童詩誌『サイロ』の表紙画を担当している真野正美氏による絵がすばらしい。2024/08/19
あられ
3
感情的に突出した表現が使われているのではなく、あの戦時下銃後の暮らしの当たり前の日々を安定した絵をつなぎながら語られる それだけに身に染みてくる 昭和は遠くなりにけり…本当に戦後80年 語り継ぐべきことと思う2025/03/21