内容説明
脳梗塞から1ヶ月後、麻痺した右手で描いた40作以上の絵と「リハビリ記」を収録。
著者等紹介
岡〓乾二郎[オカザキケンジロウ]
1955年東京生まれ。造形作家。批評家。1982年パリ・ビエンナーレに招聘されて以来、国際展を含む多くの展覧会に出品。セゾン現代美術館(2002年)、豊田市美術館(2019年‐20年)で大規模な個展を開催。「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」(2002年)の日本館ディレクター、現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーション(2007‐09年)など、絵画、彫刻、映像、建築など、ジャンルを超えた先鋭的な芸術活動を展開するとともに、美術批評を中心として執筆を続ける。主著に『抽象の力 近代芸術の解析』(亜紀書房/第69回芸術選奨文部科学大臣賞)、『感覚のエデン』(亜紀書房/第76回毎日出版文化賞“文学・芸術部門”)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
99
著者が著名な芸術家であることは知りませんでした。海外で個展を開催して、フランスから帰国し、その2日後に脳梗塞を発症した。幸い意識ははっきりしていたが、利き手の右手はピクリともしない。3週間後にリハビリ病院に転院した。ふと色鉛筆を右手に握らせて絵を描いてみた。絵らしきものが描けることがわかった。それから毎日絵を描いた。造形芸術やロボットの制作をしていた自分が身体機能が不自由になったことでむしろ自分の身体の内部感覚が敏感になり、ある瞬間に出来なかったことができるようになる体験をした。その絵の記録。素晴らしい。2024/04/01
hydrangea
5
重度の脳梗塞に倒れ、右半身麻痺になった造形作家の恢復期のデッサンは、まさに目に見える恢復。と同時に、従来の芸術とは別の方向を目指したポストモダニスト岡崎が、自由にならない右手で描き始めたのが具象だったという点に注目したい。やはり美芸大の入試に永遠にデッサンがあるように、美術家の身体に染み付いているのは素描なのだろうか。恢復の後半に描き出す抽象は冴えているが、やはり具象の積み重ねあっての抽象ということなのだろうか。内面を正確に綴ろうとする手記は、分析が秀逸なので、リハビリ関係者に行き渡ることを願う。2024/07/16
じゃあもしもし
2
読みながら、祖父のことを思い出していた。 ・120.121ページ 重心の話 ・「頭が捉えている感覚が崩れるまで、それがフィードバックされてこない」2024/08/30