内容説明
宣撫官―“武器なき戦士”の実像に迫る!遺族たちへのインタビュー、新発見の資料から忘れられつつある記憶と記録を後世に遺す労作。
目次
プロローグ 帰ってきた宣撫官 笠実
第1章 宣撫廟(国際霊廟)
第2章 宣撫官 笠実
第3章 宣撫班総班長 八木沼丈夫
第4章 中国人宣撫官 陳一徳と宣撫工作
第5章 山西顧問補佐 城野宏と山西残留
第6章 「戦争」を生きつづける戦後日本社会
エピローグ あの時代に生きた夫へ、父へ、祖父へ
著者等紹介
太田出[オオタイズル]
1965年愛知県に生まれる。1999年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。広島大学大学院文学研究科准教授を経て、現在京都大学大学院人間・環境学研究科教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フンフン
7
勧善懲悪歴史観の書。宣撫官のやったことがよかったか悪かったかをいっしょうけんめい評価しようとするのだが、うまくいかず、単に「宣撫官一人ひとりに寄り添いながら彼らが歩いた道のりを見つめなおす」作業に終わっている。著者には日中戦争は侵略戦争だという観点しかないからそうなるのだ。実は日中戦争は宗教戦争だったのである。宣撫官は皇道宣布のための宣教師だったのだ。歴史は善悪ではなく利害成敗でとらえられなくてはいけない。宣教師は侵略の尖兵ともみなせるが、キリスト教を世界に広める役割を果たしたことも間違いない。2024/05/10
takao
2
ふむ2024/08/24
HH2020
2
◎ 宣撫官とは、日中戦争が始まる前から、侵略活動を容易にする目的で中国人民を懐柔する役目を負った軍の嘱託だそうだ。「武器なき戦士」とも呼ばれ三千名以上が活動したといわれる。戦後は多くの者が戦犯として捕らえられ長い者では十年以上拘留されたのちに釈放されて帰国した。本書では宣撫官の草分けでありカリスマ的存在の八木沼丈夫、中国語が堪能で博愛精神の笠実、中国人の宣撫官陳一徳、それに宣撫官ではないが戦中戦後の問題児城野宏の四名に焦点を当てて宣撫官の果たした意義を考察した。白か黒かではなく、彼らの葛藤がよくわかった。2024/04/08
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