出版社内容情報
エブリスタ×ことのは文庫「ライト文芸賞」大賞受賞作品!日本橋で人の心から生まれた美しい和紙を扱う、不思議な店の物語。
内容説明
常世と現世のあわいにある、日本橋の紙問屋“雪魚堂”。そこを訪れる客は、白銀の紙雪が舞う不思議な百鬼夜行に誘われるという。転職活動中の猪瀬成海は、ある日雪魚堂に迷い込み、黒ずくめの少年・カナと、胡散臭さ満点の店主名代・魚ノ丞に出会う。次の勤め先が見つかるまで、その店の手伝いをすることになった成海は、様々な心の痛みを背負った客人たちとの交流の中で彼女自身も忘れていた、ある「真実」へと辿り着くのだが―。ことのは文庫×エブリスタライト文芸賞大賞受賞作!
著者等紹介
世津路章[セツジショウ]
2017年、電撃大賞への応募がきっかけで『ミス・アンダーソンの安穏なる日々 小さな魔族の騎士執事』(電撃文庫)にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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昼夜
17
日常の鬱憤をはらしたり自分の殻を破ったり妖怪の皮を借りてやりたい放題な百鬼夜行が夜な夜な繰り広げられている光景は「平成狸合戦ぽんぽこ」を思い出して楽しくなるけど、心の奥底で渦巻く様々な人それぞれのあれやこれがそうさせていると思うと打ち上げ花火みたいだった。私はどんな妖怪の皮を借りることになるのか、知らない妖怪が一体どれだけいるのかが気になって妖怪辞典が欲しくなりました(笑)。2022/06/04
服部匠
3
読み手を魅了する語り口調の華やかさとユーモアの影に隠れた、不穏な作風は、現代を生きるひとびとの苦しみや悩みを色濃く写している。百鬼夜行の幻想の美しさと不思議さ、ハラハラドキドキさせる臨場感あふれる描写は作品への没頭を誘っていた。 主人公の成海は、一見すればでしゃばりで気の強い女性。しかし物語を読み進めれば、常に自分を鼓舞し、必死に「大人」として生きようともがいている姿が読み手である自分にも重なり、共感してしまう。 大人のための救いと許しの物語だった。2024/03/05
ミント
0
★★★★☆ 常世と現世のはざまにある紙問屋「雪魚堂(せつなどう)」。胡散臭いが優しい店主の魚ノ丞、不思議な少年カナ、転職活動中で祖母の家に居候中の猪瀬成海。雪魚堂を訪れる人々は常世に迷い込みかけており、現世で所在なさを抱えている。そんなお客様を夜な夜な催される百鬼夜行に招待し、妖怪・あやかし・名状しがたきものの等々の皮をかぶり夢まぼろしのお祭りで常世の憂さ晴らしをする。 #NetGalleyJP2022/06/26