出版社内容情報
たった一人で城に暮らしていた少年と放浪者の少女が織りなす、美しくも優しくて残酷な吸血鬼の物語。菊地秀行&Naffyの感動絵本。
内容説明
丘のいただきにそびえる大きな城に、少年がひとりで住んでいました。その城には、昔はたくさんの人たちが暮らしていたのです。しかしある日、みんなは忽然と姿を消してしまいました。秋のある夜、そんなひとりぼっちの少年の住む城の庭に、芸を見せて生活する放浪者たちがやって来ました。無人の城だと勘違いをした彼らは、たくさんのテントを張って、賑やかな音楽をかなではじめます。ただ少年は、彼らの前に姿を現す気はありませんでした。でも深夜に城の大広間で踊りの練習をしているひとりのロマニーの少女を見た少年の心の中に、ある感情がめばえます。それは―?ひとつの場所にしばられた少年と流浪の少女がつむぐ、永遠の愛の物語。
著者等紹介
菊地秀行[キクチヒデユキ]
1949年、千葉県生まれ。小説家。青山学院大学法学部卒業。ルポライター、翻訳家を経て、1982年『魔界都市“新宿”』(朝日ソノラマ)でデビュー。また、SF・ホラー映画の愛好家としても有名。日本推理作家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
198
菊地 秀行の絵本を見つけたので読みました。著者の絵本は、初読です。本書は、哀しく切ないラブ・ファンタジー・ヴァンパイア大人向き絵本でした。Naffyの絵も美しく雰囲気があります。🦇🦇🦇 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000354.000048095.html2020/12/11
アキ
73
Naffyの中世の欧州を表すような素敵な絵と、菊池秀行の不気味で哀しい物語がマッチしていて、好みの絵本。「Mou」に引き続き、手元に置いて読み返したい絵本です。恐らく、ルーマニアのあの昔話が元になっているのでしょうね。2021/09/13
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
53
初読み。幻想的な絵、そして切ないけれど究極の愛あるファンタジーでした。桜庭一樹さんの「ほんとうの花を見せにきた」を思い出しました。2021/02/28
花ママ
49
「Mou」の絵著者Naffyさんの絵本。お城に1人で暮らす少年期とロマニー〈放浪者〉の一団にいる少女のロマンス。少年には語ることができない秘密があり・・Naffyさんの素敵な挿し絵は、独特の雰囲気があり大人を惹きつける。グリムの昔話をNaffyさんの挿し絵で読んでみたい。 2021/02/07
くさてる
40
菊池秀行作の絵本。吸血鬼の少年が主人公なのだけど、決して直接的な表現はないまま、幻想的に描かれるかれの生活と、それを変えた少女との出会いの運命が素晴らしい。それを見届けた、黒衣の青年の存在も。菊池先生らしい、切なくも美しい幻想の恋物語です。2021/04/03