感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ルピナスさん
53
【11月24日午後休を利用して念願の国際子ども図書館へ!】9冊目。敦煌莫高窟に描かれたとされる壁画「鹿王本生図」に基づく中国の昔話。私は宮島の厳島神社が身近にあったので、神聖な場所には鹿が住むものだと幼い頃から信じていた。そういうわけではないと理解した今でも、鹿が神の使いと信じられてきた各国の昔話を辿るのは興味深く、表紙の気高く躍動感のある鹿の絵には、決して人間の強欲から捕まえてはならない火の鳥を思い出した。2022/11/24
とよぽん
51
台湾の絵本作家コンビによる美しい絵本。インドから中国に伝わった物語が、敦煌の壁画にも描かれている。それをもとに作られた再創作絵本だが、内容の翻案や、影絵のような独自のタッチに溶け込ませた色彩など新たな挑戦を試みている。その苦しい過程を、一種の修行のようなものと「あとがき」に述べていた。2年以上の月日をかけて何度も修正を重ね、納得できる作品に仕上げた傑作。2020/06/28
ちえ
46
印象的な表紙に引かれて借りてきました。シルクロード敦煌の莫高窟257窟に描かれた壁画『鹿王本生~仏陀が九色の鹿王だったときの物語』がもとになった中国の民話を台湾の絵本作家夫婦が絵本にしたもので、影絵を思わせる絵がとても美しいです。解説には敦煌の壁画の写真も載っていて、これがまた素晴らしいです。元々の話はインドに伝わる仏教の教えを親しみやすくといたジャータカ物語の中の「金色の鹿」で、日本では今昔物語や宇治拾遺物語の「五色の鹿」になったという事で、絵本一冊からとても勉強した感じです(^ω^)2020/07/19
anne@灯れ松明の火
32
ブログでオススメしている人がいて、気になっていたところ、新着棚で。よく知られた仏教説話を台湾の人気絵本作家が絵本化したもの。日本では宇治拾遺物語や今昔物語に「五色のしか」というお話として伝わっているそうだ。人間の弱さ、愚かさ、対して、鹿の神々しさと気高さが描かれている。絵も独特で面白い。黒を基調にして、ところどころの鮮やかな色が際立つ。鹿は薬草とりを責めたけれど、一番の悪者は王妃であり、それを諫めなかった国王だよね? 絵の廖 健宏(リャオ・ジャンホン)さんは夫。台湾でも夫婦作家が活躍しているんだなあ。2020/06/29
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
24
中国の昔話。敦煌の壁画に描かれた物語を元につくられた絵本。その更に元は、インドのジャータカ物語の「金色の鹿」、日本では「五色の鹿」というおはなしになっているそうですので、どちらも読んでみたいです。影絵のような絵、巻末の壁画の写真は神々しさを感じました。2020/08/10