出版社内容情報
山吹あやめ[ヤマブキアヤメ]
著・文・その他
内容説明
「三十年前から届いた葉書」「隣人の嫌がらせ」―二人暮らしの貧乏大学生・揚介と、先輩月也は今日も「お悩み相談サイト」に届く妙な依頼を解決する。そんな生活が、陽介の祖父の葬式で一変。帰省した彼は中退して農家を継ぐことを命令されてしまったのだ。一方、ふらりと故郷に現れた月也も、何かを隠しているようで―?互いの息を合わせて舞う神楽の夜が近づく時、「死にたがり」の完全犯罪計画が再び動き始める!「僕を信じてくれますか?先輩」ステイ・ホームミステリー第2弾!時代を切り取る、完全書き下ろし小説!
著者等紹介
山吹あやめ[ヤマブキアヤメ]
青森県生まれ。宇都宮大学教育学部環境教育課程卒業。卒業論文は物理研究室にて作成。担当教授の言葉「一人でできることは後でもできるから、今は一人ではできないことをしてみればいい」は座右の銘のひとつ。好きなアーティストは、GLAYとMAN WITH A MISSION。2018年エブリスタ小説大賞TOブックス大賞受賞。「死にたがりの完全犯罪と部屋に降る七時前の雨」にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うまる
35
続編。帰省と過去の謎話で、前作より2人の背景がよくわかるし、関係性に深みが増してきて面白い。のらりくらりと理系探偵の話だけでも続けられる所、ちゃんと本筋を進めてくれたのが嬉しいです。個々の理系謎も良かったけど、短期間の金稼ぎをどうするのかが見どころでした。なるほど、そういう解決策があったとは。 最初からルートが決まってる家柄って大変ですね。誰からも一個人として見られないというのも辛い。フツーが一番としみじみ思いました。2022/09/29
紅羽
7
コロナ禍を生きる不要不急の外出をせずに事件を解決する大学生二人のシリーズ2作目。今回はお盆の帰郷をきっかけに二人のルーツに迫る事に。そういえば七月下旬まで岩手県は感染者ゼロを保っていたんですよね。二人の絆?…もより強固になり、続きも期待したくなるシリーズになりました。2022/10/12
長峰
2
1作目よりも2人の関係性が強く書かれている気がする。地方都市特有の閉鎖された環境に戻らねばならなくなった陽介に父親は無理難題を突きつける。「家」「家族」そういうものに縛られ揺れ動く陽介のもとに月也が現れる。月也の「家」でも新たな問題が持ち上がり、2人はその「場」から離れるための完全犯罪をおこす。 前回より2人の繋がりが深くなったのを見れて良かった。2024/09/13
アゲハ
2
家や親に縛られて生きてきた二人。確かに憎んでいるのに、それでもしがらみを捨てきれずにいる。高校までの狭いコミュニティの中で互いのことを理解できる人に出会えて、それが現在まで続いているのは唯一の救いだと思う。普段は相手の事情に踏み込みすぎないようにしつつも、結局は相手の手を離せない二人の、不器用だけれど人間らしい部分がたまらなく好きだ。2022/11/07
なぎ
2
1冊目の時より更に濃密になっていく陽介と月也の関係、正に太陽と月のようにお互いの存在に寄り添 いながら支え合う2人が尊かった。陽介も月也も「家」という存在に縛られていて、だからこそ陽介が父親から出された無理難題に2人で挑んでクリアできたことも、月也が実の母の面影と邂逅できたエピソードがあったことも嬉しかった。自分の子供に将来を強制するような陽介や月也の親が毒親にしか見えなくて始終イラッとしたけど、それでも縁を切れない陽介の苦悩が切ない。陽介にも月也にも自分のやりたいことを見つけて2人で幸せになってほしい。2022/09/11