内容説明
30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。―なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。
目次
第1章 夢の夢の、そのまた夢の仕事(デビュー:「1冊目には宮崎さんのお名前は出ません」;翻訳の醍醐味:惚れ込んだ原書を売り込む ほか)
第2章 ミッション:インポッシブル(二足目のわらじ:出版翻訳家志望者への秘策;監修者:「宮崎さんって、なんでもない人じゃないですか」 ほか)
第3章 これぞ出版翻訳家の歓喜(平積み:「在庫が1冊もないのです」;ご褒美:17年越しのジグソーパズル ほか)
第4章 そして私は燃え尽きた(翻訳代金前払い:「だからウチで出すって!」;前代未聞の犯罪:訳者名を表示せず書籍刊行 ほか)
著者等紹介
宮崎伸治[ミヤザキシンジ]
1963年広島県生まれ。青山学院大学卒業後、英シェフィールド大学大学院言語学研究科修了。大学職員、英会話講師を経て、出版翻訳家に。著訳書は60冊。英語・翻訳関係の資格23種類を含む、133種類の資格保持。2012年、出版業界から足を洗う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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徒花
152
すごい本だった。出版社で編集者として働いている私が見ても「出版社とか編集者はクソばっかだな!」と感じてしまうような内容。海外本の翻訳者として活躍した著者が翻訳の世界から離れる決断をするに至った経緯を赤裸々に綴ったエッセーなんだけど、口約束は平気で破るわ、ウソをついて誤魔化そうとするわというエピソードのオンパレード。都合が悪くなった人間の手のひら返しっぷりがすごいが、所詮同じ穴の狢である私としては笑ってられない内容でもある。2021/07/27
修一朗
128
翻訳が完了して作品を納品した後に印税を下げてきたり何年も待たされた挙句に「あの仕事はなかったことに」と言われたりとか,業界編集者のひどい仕打ちにびっくりだ。これは粗製乱造の自己啓発本業界だからだろうか,翻訳者は道具扱いだ。裁判すれば出版社側が負けるのだから口約束だからとへらへらっと覆すのは違法なのだ。ちなみに宮崎さんが弁護士立てずに御自身の陳述裁判で争ったのにもびっくり。20年前の話だけども業界の口約束体質は変わったろうか。さすがに今はちょっとまともになっていると思いたい。2021/06/08
ずっきん
90
出版翻訳界の暴露本。約束を幾度もひっくり返され、ついに本人訴訟にまで至るものの、心のキズは癒えぬまま。いろいろ吃驚はあるけれど、翻訳者にもファンがつく文芸読みからすると、翻訳のクオリティについて編集サイドがそれほど関心を寄せないのに衝撃。自己啓発やビジネス書ってそういうものなのか。興味深く、面白かった。2021/02/10
ネギっ子gen
83
『7つの習慣 最優先事項』などの訳で売れっ子翻訳家になったが、出版社との様々なトラブルを経て業界に背を向け、「警備員」を職業とするまでの顛末が綴られる。袖では、<A書房、B書院>などとなっているが、著者自体が実名なため、ネットで調べれば翻訳を担当した出版社名は一目瞭然に出てくるし、ま、暴露本ですかね。著者は出版中止を告げられた時のショックをこう述べる。<大袈裟かもしれないが、それは出版翻訳家にとっては出産間近の「子ども」を堕胎されるのと同じくらいの大打撃である>と。翻訳原稿が大幅にカット、も切ないが……⇒2021/01/25
ホッパー
71
出版翻訳家が編集者から裏切られるエピソード多数。7割くらい胸クソな話で、こんな相手と仕事はできないよ、、という人が沢山出てくる。安易に人を信用しない、譲歩しないという点は、自分を守るための学びになった。2021/08/12
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