内容説明
独特のアートワーク:創刊号117誌の表紙を収録。赤線、阿部定事件:カストリ雑誌の背景を知る。売春、姦通、連続殺人:代表的なカストリ雑誌の誌面を解説。戦後初の発禁処分:小説「H大佐夫人」復刻掲載。
目次
第1章 昭和21年(りべらる;猟奇 ほか)
第2章 昭和22年(共楽;ナンバーワン ほか)
第3章 昭和23年(艶麗;検察トピック ほか)
第4章 昭和24年~(抱擁;夫婦雑誌 ほか)
第5章 カストリ雑誌小研究(統計でみるカストリ雑誌;戦後初の発禁処分『猟奇』2号 ほか)
著者等紹介
渡辺豪[ワタナベゴウ]
昭和52年、福島県生まれ。遊廓専門出版社「カストリ出版」経営。遊廓関連の稀覯本を復刻。吉原遊廓跡に遊廓専門書店「カストリ書房」を構える。戦後の売春史を研究。カストリ雑誌約1,000冊所有、民間のコレクションとしては最大規模(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チョビ
6
カストリ雑誌。戦後のちゃちいエロ本かな、と思っていたが、ひとつの芸術だと思えばなかなかかと。よく考えれば、戦時中は兵隊さんと女子高生の慰問袋を媒介にした恋愛だって許されていたわけだ(私が見たのは少なくとも検閲跡がない)。戦時中もそれなりに工夫してやってたけど、結果的にお高い「ホンモノ」でしか満たせなかったんだろうね。コミュ障の人間にとっては敷居高いわ。また、戦時中だといわゆる役に立たない方々の一つの戦後救済策と思えば、徒花でもなく、ただたくましさだけを感じる。2020/10/27
パトラッシュ
6
ソ連崩壊翌年のモスクワを訪れたことがある。クレムリンの近くでエロ写真雑誌が公然と売られ、外国人には闇ドル交換が持ちかけられ、夜はホテルに女を売り込む電話が続くなど一夜で価値観が逆転した時代に人びとが必死にあがいているのを痛感した。同様に欲望が解放された状況だった戦後日本に現れたカストリ雑誌は、粗悪で汚く急ごしらえながらセクハラだのコンプライアンスだのがうるさい現代人には想像もできない、容赦なく「性」が売り物とされた「何でもあり」の混乱期を生き抜いた証拠といえる。逆境でも逞しく開き直った人こそ勝ち組なのだ。2020/03/07
爺
6
昭和21年から25年の間に大量に創刊廃刊を繰り返し、あっという間に寿命を終えたカストリ雑誌。その創刊号の表紙117点を大判カラーを中心とながら、戦後売春史を研究する著者がささやかな解説を加えてくれる。戦後すぐにこうした本が大量に刊行され消費されたという事実に、戦中の言論統制による締め付けの苛烈さがわかる。2019/09/28
tkm66
2
極めて貴重な資料集。再録されている『H大佐夫人』がナカナカ。2019/09/28
河村祐介
1
フォントとか最高なんだよな。印刷も。2020/01/09
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