内容説明
稀代の猛将・戸次鑑連、高橋紹運を従え、毛利・島津・竜造寺ら群雄が割拠する九州を驀進し、さらに理想のキリスト教王国を築こうとしたキリシタン大名・宗麟。その躍進と繁栄、崩壊を描く―。劉寒吉未刊の連載小説を書籍化。
著者等紹介
劉寒吉[リュウカンキチ]
明治39(1906)年、福岡県小倉市に生まれる。小説家。本名濱田陸一(はまだりくいち)。第二期『九州文学』の結成に参加し、第五期の休刊号まで同誌を支えた。昭和18年「翁」が芥川賞候補、「十時大尉」が直木賞候補となる。昭和30年「風雪」直木賞候補。北九州市立美術館、旧歴史博物館、市立中央図書館の設立に携わる。また森〓外旧居の保存や火野葦平らの文学碑の建立など、北九州の文化振興に尽力した。昭和61(1986)年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茶幸才斎
3
豊後大友家の嫡男、新太郎は、元服して義鎮と名乗り、二階崩れと称される家督騒動を経て、第二十一代当主となる。後の大友宗麟である。宗麟は、九州に勢力を拡大し、中国の毛利元就や肥前佐賀の竜造寺隆信と覇を争う一方、伴天連を保護し自らも南蛮宗に心酔し、果てはキリシタンの楽土建設を唱える。そして天正6年、薩摩島津軍と日向高城川原で激突する。戦場を駆け、領地を盗り合い、味方の謀反を警戒しながら、謀略で敵を討つのも厭わない熾烈な戦国の世に、ふと信仰心から戦のない世界を夢想する。その心の揺らぎに足を掬われてしまった。無念。2024/06/12