内容説明
葛藤、罪悪感、エゴイズム、贖罪…あの読後感が、いまよみがえる。累計700万部、教科書に掲載され、いまなお議論される日本文学の最高峰。美しいイラスト、豊富な振り仮名、丁寧な用語解説でとにかく読みやすい!
著者等紹介
夏目漱石[ナツメソウセキ]
1867年‐1916年。小説家。本名は夏目金之助(なつめきんのすけ)。近代日本文学を代表する作家の一人。帝国大学(現在の東京大学)英文科卒業後、松山で中学校教師などを務めたあと、イギリスへ留学。帰国後は東京帝国大学講師となる。代表作は『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『三四郎』『それから』『明暗』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
85
久々にこころを読み心を動かされる。明治の終わりと共に妻を残し自死に至る先生の手紙で終える小説。この小説に通底する死の不吉な基調。先生の両親の死、残された金を巡り叔父に欺かれた過去、私の父親の死期、Kの死、妻の母の死、明治天皇の崩御と乃木大将の殉死。いくつもの死は明治という時代の死でもあり、そこに死の裏側にある生の萌芽は見出せない。主人公の私は、東京で先生の葬儀に出た後にどう生きるのであろう。文響社のこの本は挿絵入り、ルビ振り、文字の意味付きで文庫本より読みやすかったです。違う形式の本で読み直すのもいいな。2021/04/17
鱒子
80
言わずと知れた夏目漱石の代表作のひとつがイラスト付きで。このイラストがビックリ!なんと漫画のひとコマなのです。なので、イラスト内に台詞入りの吹き出しが書いてあります。そしてこのイラストは「漫画こころ(作者 有栖サリ)」からの引用。文響社さん、面白いことするなぁ。2021/07/09
紅香
30
『私は今自分で自分の心臓を破って、その血をあなたの顔に浴びせかけようとしているのです』父親の臨終間際。届いた分厚い手紙は今にも血を噴き出しそうな激しい寂寥だった。。先生と私、両親と私、先生の遺書+イラストで世界観を広げている。夏目漱石の魅力に今更ながら気付かされ、舞い上がる。そして打ちのめされた。高校の頃には見えなかったこころの襞。塵を被ってきた今ならば理解できる。だから恋は嫌い。『私の鼓動が停まった時、あなたの胸に新しい命が宿ることが出来るのなら満足です』遺書は渾身の追体験。絶対に忘れない。圧巻な一冊。2021/08/01
たつや
6
個人的には漱石の中では一番好きな作品です。人間の心捕らえたる、このコピーも素敵。2025/04/30
よし
2
★★★★☆ 夏目漱石の名著。挿絵が入っていて、場面が想像しやすかった。捉えどころのない人のこころの有様を独白調で語る最終章は圧巻。人間の心の底にある孤独は切っても切り離せないからこそ、誰しもがそれに共感し、長年読み続けられているのだろう。2024/09/08
-
- 和書
- 女性の心の病気を治す本