内容説明
幼い妹と弟を、残していくしかない。それは、人としての限界を超えた選択だった!たった七歳の少年に負わされた決断という使命。満州からの引き揚げは、いつしか匪賊やソビエト兵からの逃避行となっていく。少年時代に体験した残酷な現実を、一切の誇張も虚偽もなく綴ったノンフィクション。
目次
第1章 満州の逃避行(引き揚げ列車の脱線;暗闇の歩行二百キロ;邦人、屍の河;昭和天皇玉音放送;炎天下の魚釣り;ソビエト軍囚人兵の女狩り;母の死、そして生き別れ;馬舎で繋いだ生命;夢の中、父との再会;希望輝く朝)
第2章 大望の新天地(下関、希望の船出;愛犬太郎との出合い;妹の富美子は満洲っ子;心を結ぶ中国の友;赤紙、父への召集令状;関東軍幹部候補生、端野新二;襲撃の中、弟義男が誕生;別離の街、牡丹江)
第3章 遙かなる祖国日本(妹弟を残留孤児にした私たち;敗戦国の悲劇;夜汽車は葫蘆島へ;満蒙開拓青少年義勇軍;山頂の火葬場;永遠に忘れえぬ葫蘆島;海に消えた幼い命;舞鶴港に響く歌;故郷の島に架ける橋ほか)
第4章 亡き母との誓い(中国政府への請願書;表敬訪問の大義;残留孤児への誤解;満洲の赤い月;日本人孤児認定の壁;妹の富美子は生きていた;三十六年目の絆;国境を越えた恩愛)
著者等紹介
柏実[カシワミノル]
1939年8月26日生まれ。長崎県南松浦郡若松村神部(現新上五島町)出身。歌謡曲(レコード)の作詞家として、筆名「海原光」で数々の作品を発表。1962年、「人生土俵」と「裏町ながし」2曲がデビュー作品(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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