内容説明
“マンガの神様”手塚治虫の最後の少女マンガ、ボーイズラブの先駆的作品『風と木の詩』と併走した編集者の青春ストーリー!3編収録。
著者等紹介
太田隆二[オオタリュウジ]
1950年、愛知県岡崎市の家電販売店「電波堂」に生まれる。1975年、京都大学卒業後、小学館に入社し、少女マンガ誌、教育技術誌、日本古典文学全集等の編集に携わる。2008年、早期退職して隠遁生活に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
108
漫画家と編集者の原稿を巡るせめぎ合いの話は多いが、長年「少女コミック」編集部にいた著者が手塚治虫と竹宮惠子を中心に回想していく。2人とも執筆の遅さが笑い話になるほど有名だが、担当者にすれば冗談ではなく原稿をもぎ取る必死の攻防戦が展開されていたのだ。締め切りに追われながら家族旅行を優先する手塚や、どうしても描けずセリフだけの原稿を掲載する羽目になった竹宮、連載打ち切りの恨みを原稿に叩きつけたり衝突して担当を外され、編集部内でも漫画家を取り合うなど『バクマン。』にもない悲喜劇は実に人間臭いドラマに満ちている。2024/02/03
keroppi
66
「少女コミック」の編集部に配属された著者が漫画家たちと繰り広げる波乱の日々を綴った短編集だ。タイトルに手塚治虫とあるが、手塚治虫とのことを書いているのは一編のみ。他は若手作家だったり、竹宮恵子だったり。漫画家たちも必死であるが、遅れた原稿を何とかして受け取るために必死になる姿が哀れでもある。この時代、こんなことが繰り広げられていたのだな。合間に描かれる性のトキメキもなんだか可愛らしく見えてくる。2024/02/27