内容説明
元禄十四年三月十四日。赤穂藩主・浅野内匠頭は、江戸城で、勅使の接待役を務めていた。その時、任務の上司である吉良上野介から、大勢の前でバカにされたのである。噴き上がる怒りの炎。浅野は刀を抜いて、吉良を斬りつけてしまった。事件を裁いた幕府は、浅野には切腹を命じたが、吉良には「お咎めなし」と言い渡した。喧嘩両成敗の鉄則を破ったのである。この悲報に浅野の領地、赤穂城は騒然とした。お家の危機に、残された藩士は、どう身を処すのか。どう生きたのか。吉川英治の名作を、大きな文字で。
著者等紹介
吉川英治[ヨシカワエイジ]
明治25年(1892)~昭和37年(1962)。神奈川県生まれ。本名、英次。家運の傾きにより、11歳で小学校を中退。さまざまな職を転々とし、社会の辛酸を舐める。18歳、苦学を覚悟して上京。29歳、東京毎夕新聞社に入社。翌年、初の新聞小説『親鸞記』の連載を開始。31歳、関東大震災に遭遇したことをきっかけに、作家活動に専念。たちまち人気作家へ。43歳、朝日新聞に『宮本武蔵』の連載を開始。爆発的な人気を得て、国民文学作家の地位を不動にする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
27
多くある忠臣蔵の中でも、私にとっては善悪をはっきりさせている点や流れに主軸をおいている点で読みやすく感じる作品です。高田郡兵衛をはじめ離脱者に対しても淡々と書いていますが、内蔵助の苦悩は伝わります。2023/10/18
たつや
4
物心が付いた頃、「忠臣蔵」、や「赤穂浪士」は親がテレビで見たりして知ってはいたが、興味は持てず、内容もうっすらしか知らず、気にはなっていた。司馬遼󠄁太郎で読みたかったが、無い!書いていない。ので、図書館で探し、吉川英治を見つけた。流石に明治生まれ。やや、読みづらいが、慣れるとグイグイ読める、いや、読まされる。巻末の解説も簡潔で良い。2023/09/08
山河
0
相変わらず吉川英治の歴史小説は分かりやすく面白い。元禄14年3月14日赤穂藩主浅野内匠頭が江戸城で吉良上野介を刃傷に及んだ。喧嘩両成敗とはならなかった。これが後の忠臣蔵の討ち入りになる。2020/12/02
今日は決算前
0
◯ 忠臣蔵の王道が知りたくて読んでみた。最初は言葉の使い方が古めかしく、登場人物も多いし、古い江戸時代の物事をさす言葉も使われており、ストーリーが頭に入ってこなかったが、徐々に慣れてきたのか話に引き込まれて行く。まだまだ、討ち入りは先だが、大石内蔵助の「見透し難い人間の心」という思いから、多くの事を見極めなければならないほど難しいものだったのであろう。この先もまだ長い。強い気持ちを持ち続ける忠臣のストーリーを期待したい。【図書館本】2019/12/09