”奇異な裁き”のヨーロッパ史―神判・動物裁判・魔女裁判

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  • サイズ 46判/ページ数 272p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784866241357
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0022

出版社内容情報

神の時代から悪魔の時代へ――
熱湯に手を入れる釜審やパンを呑み込む嚥下審、勝敗が判決を分ける決闘裁判、豚や虫に対する訴訟、そして魔女裁判……中世から近世にかけて、こうした〈奇異な裁き〉が行われたのはなぜか。また、その時代的変遷は何を示しているのか。

■序章より
(前略)これまで取り上げてきた、棺台審、冷水審、熱鉄審、動物裁判、魔女裁判、決闘裁判に関わる風景は、現代に生きる私たちから見ると、まことに「奇異」にうつる。非常に野蛮で、荒唐無稽、また人権を無視することはなはだしいという感慨を抱いてしまう。
なぜ、中世から近世にかけて生きたヨーロッパの人々はこのような裁きを行っていたのだろうか。その理由や背景は何であろうか。本書では、この問題を考えていくことを通して、神判、決闘裁判、動物裁判、魔女裁判という四つの「奇異な裁き」に通底するものを探っていきたい。ただし、これら四つの「奇異な裁き」にアプローチする際に留意しておきたいことがある。それは、これらの「奇異な裁き」を関連性のない別々のものとして扱わないということである。
熱鉄審や冷水審などの神判、決闘裁判、動物裁判、魔女裁判など個々の裁きについては、これまで数多くのすぐれた研究がなされてきた。しかし、それらの裁きを包括的に捉えて共通するものを探る試みは十分になされてこなかったと思われる。
個々の「奇異な裁き」について歴史的探究を進めることは大切である。一方、種々の「奇異な裁き」を包括的に捉えることも重要だと思われる。現代日本社会に生きる私たちが、これらの「奇異な裁き」の風景を眺めたときに、そこに異質な、何かしら「奇異なもの」があるとの印象を受けるのも間違いないことである。そのある意味で居心地の悪い印象は、多様な「奇異な裁き」に通底するものに関係しているのではないだろうか。本書では、この思いを導きにして探究を進めていくことにしたい。


【目次】

序 章  「奇異な裁き」の風景――近世から中世へ
出血する死体/破門されるイナゴ、ナメクジ、毛虫/魔女の冷水審/近世から中世へ――「奇異な裁き」の原風景/決闘裁判/「奇異な裁き」に通底するもの

第一章 神判の諸相――全能の神を試す?
火審――熱湯で溶ける異端者の腕/火審と性的問題/熱湯審の手続き/熱鉄審の手続き/悪魔の介在/中世前期の神判と悪魔/棒切れのように浮かぶ身体/冷水審の手続き/冷水審の流行/棺台審/血液と棺台審/十字架審/呑み込む神判/第四ラテラノ公会議と神判禁止/神判に対する批判と賛成――公会議以前/フグッキオとペトルス・カントールの神判批判

第二章 決闘裁判――名誉をかけた戦い
不名誉な死にざま/決闘裁判の起源/決闘裁判の対象/大逆罪をめぐる決闘裁判/殺人をめぐる決闘裁判/性的問題をめぐる決闘裁判/財産・地位をめぐる決闘裁判と名誉/決闘裁判と魔術/決闘裁判と悪魔の介在/決闘裁判の当事者たち/女性と決闘裁判/夫婦間の決闘裁判/決闘裁判のルール―場所と時間/決闘裁判のルール――武器と服装/決闘裁判に対する批判

第三章 動物裁判――揺らぐ人間と動物の境界
裁かれる豚/豚の逆さ吊り/中世の豚/近世における豚裁判/裁かれる他の動物たち/獣姦と動物裁判/裁かれるネズミ・害虫/動物裁判の地理的分布と年代的傾向―魔女裁判との類似性/動物には悪意があるのか/動物には理性があるのか/有害な動物は裁かれなければならない/中世初期から盛期の人間と動物の関係/獣姦をめぐる動物観の変化/揺らぐ人間と動物の境界/動物寓話集と寓話/人間と動物の境界の融解――一二世紀以降

第四章 魔女裁判――悪魔の時代の到来
パリ大学神学部の決定/跋扈する新種の魔女――一四三〇年代以降/悪魔観の変容/大いなる悪魔の時代/女性の動物化/『魔女に与える鉄槌』における女性観/魔女の証人と弁護人/魔女の有罪証明に必要な自白と証拠/魔女の裁きと異端審問/異端審問の手続きと拷問/魔女の裁きと拷問/古代の魔術・魔女関連法/古代末から中世初期の魔術・魔女関連法/中世中期から中世末期の魔術・魔女関連法/近世の魔術・魔女関連法/ヴュルツブルクの魔女裁判/尋問の具体例――ロンシェンの魔女裁判一/裁判所における合議から拷問、判決まで――ロンシェンの魔女裁判二/魔女裁判と冷水審

終 章 「奇異な裁き」に通底するもの
「奇異な裁き」と神・悪魔/山羊と悪魔/狼男裁判の問題/動物裁判・魔女裁判と悪魔祓い/一二・三世紀における自然観の変化と動物の悪魔化/奇蹟・驚異・魔術と超自然・反自然・脱自然/神判・決闘裁判と自然/動物裁判・魔女裁判と自然

内容説明

神の時代から悪魔の時代へ―。熱湯に手を入れる釜審やパンを呑み込む嚥下審、勝敗が判決を分ける決闘裁判、豚や虫に対する訴訟、そして魔女裁判…中世から近世にかけて、こうした〈奇異な裁き〉が行われたのはなぜか。また、その時代的変遷は何を示しているのか。

目次

序章 「奇異な裁き」の風景―近世から中世へ
第一章 神判の諸相―全能の神を試す?
第二章 決闘裁判―名誉をかけた戦い
第三章 動物裁判―揺らぐ人間と動物の境界
第四章 魔女裁判―悪魔の時代の到来
終章 「奇異な裁き」に通底するもの

著者等紹介

黒川正剛[クロカワマサタケ]
1970年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術、東京大学)。現在、太成学院大学人間学部教授。専門は西洋中・近世史、宗教史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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塩崎ツトム

17
神明裁判から決闘裁判、動物裁判、異端審問から魔女狩りを一つの流れで俯瞰しようという無茶な試みをする本。はたしてそれができていたのかというと微妙ではあったけど、中世後期の、自然の脅威と驚異が遠のき、その結果動物と人間の境界があいまいになり、悪魔といった怪力乱神のリアリティが増していき、その過程で女性の社会的地位がどんどんと押し下げられていく。どうも都市生活に比重が移るにつれ「机上の空論」とでもいうべきことの重要度が増していったらしい……?2026/07/04

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