内容説明
「以心伝心」「言いさし」「察知の芸術」「記号操作」…日本語の姿からみる日本人の思考。
目次
プロローグ 日本語はおもしろい
第1章 日本語が見せる世界
第2章 日本語はほのめかす
第3章 日本語は惑わせる
第4章 日本語は拡張する
第5章 日本語は交雑する
第6章 日本語はつねに顔つきを変える
第7章 日本語の未来に向けて
エピローグ「感情的な日本語」とは何か?
著者等紹介
加賀野井秀一[カガノイシュウイチ]
1950年、高知市生まれ。中央大学文学部仏文科卒業後、同大学大学院・パリ第8大学大学院に学ぶ。中央大学理工学部名誉教授。専攻はフランス現代思想、哲学、言語学、メディア論、日本語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チョコ
57
日本語の成り立ちから、なぜ漢字ひらがなカタカナがあるのか、など、様々な角度から日本語を読み解く!面白かった!カタカナは無限に外国語を取り入れるというのにも納得。主語のない日本語、日本の文化の表れなんだなぁー!『「強制的観察」言葉によって考え方が決まる。』これは大学生の頃、友人と議論したなぁ。エピローグにある詩に、私も忘れていたことを思い出した。遠くを見よ!ですね。2024/10/16
yamatoshiuruhashi
49
軽妙洒脱な中にしっかりと考察されたご本人の日本語論が見えて、何か物知りになった気分。古事記、日本書紀に始まり万葉集は言うに及ばず、古代の文献から最近のネット記事までを分析し、それを外国語との比較の中に置くことで日本語の共通性と特殊性を際立たせる。内容は立派な研究書だろうが、万人向けの分かりやすさ、若い研究者かと思ったら自分より年上で失礼しました。しかし、これだけの考察を現代の諸問題点と比較しつつできるとは頭はずいぶんお若いのだろう。笑いつつ少し利口になったような気がする本です。2024/06/09
清水勇
4
海外で長年仕事で外国人と英語での議論を通して日本語の曖昧さを痛感。この本でその原因が理解できたし、著者のアプローチが面白かった。特に、日本は短歌等の短詩形文学に代表される「高文脈社会:多くを語らずとも豊かな意味を伝えられる社会」であり、だからこそ欧米人が相手の表現の正否・善悪を判断するのに、日本人は単語の使い方で感覚的に相手を評価するという説明は納得。政府が国民の権利をなくす方向で種々の動きを進めている今だからこそ、我々は、著者が力説する「冗長的」でもお互いに議論できる言葉の使い方を考える必要がある。 2024/06/21
まさQ
2
日本語は主語がなく曖昧で察して欲しがり屋。 しかしながら感情に訴えかけ、相手に応じて同じ意味でも言い回しを変えるところもある。 相手に寄り添い、伝わるようにと無意識に使い分けられるのは教育の賜物。自分に一人称ですら、相手によって使い分ける。そしてその時には人格も変わる。 だから言葉は面白い。2024/08/06
アリス
0
図書館▼いろいろとおもしろい日本語▼この本とは直接関係ないが、先日、歯医者に「あいてください」と言われて「ん?」と思ったことを思い出した。私に「口をあけてください」と言っているのだとしたら「あけてください」のはず。あの歯医者は、私にではなく、口に「あいてください」と言っていたのだ!「あく(自動詞)ーあける(他動詞)」ではなく、「ひらく(自動詞・他動詞)」を使ってくれれば私に言っていようと、口に言っていようと違和感ないのにな。2024/09/22