内容説明
ハトにピカソとモネの絵を区別させることに成功してイグ・ノーベル賞を受賞した著者が、さまざまな動物の行動実験や脳研究を通して、ヒトと動物の心を比較することで、ヒトの心の起源を探る―。
目次
序章 あなたの中の動物たち
第1章 あなたの記憶力
第2章 あなたは論理的に判断できますか
第3章 あなたは道徳的ですか
第4章 鏡の中のあなた
第5章 あなたは美がわかりますか
第6章 あなたの言語
第7章 あなたの脳を見てみよう
終章 心とは何でしょう
著者等紹介
渡辺茂[ワタナベシゲル]
1948年、東京生まれ。1976年、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了、文学博士(心理学)。1995年、イグ・ノーベル賞受賞。2017年、日本心理学会国際賞・特別賞受賞。2020年、山階芳麿賞受賞。慶應義塾大学名誉教授。専門は比較認知神経科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chanvesa
22
「仲間も一緒に酷い目に遭っていると一人で酷い目に遭っている場合より耐えられます。」(130頁)と「シャーデンフロイデ」(他者の不幸が快感につながる、139頁)、そして「他個体を助ける」「嫌なものを避ける」(120頁)、これが混ざり合うのが、人間だけでなく、動物にもあるというのが興味深い。思いは言語と密接なはずなので、動物が何かを思っていると考えるのは無理がある。ネコが人が泣いていると寄り添って、なめてくれたりするのは、共感や助けたいという気持ちが、ある程度知能を持った動物にはインプットされているのか。2025/03/22
loanmeadime
12
日本で二人目のイグ・ノーベル賞受賞者による動物の能力を通して人間を見るといった一冊。人類が進化の最終にいるという考えの特に知的な分野に対しての反論として、しっかりした実験の結果をつうじてハトやチンパンジーの記憶力などが述べられます。一方で、等価性を理解し言語へと向かう人間の能力を他の動物には見られない特徴とします。鳥の鳴き声の音楽性や言語としての考察は、岡ノ谷一夫さんの研究も合わせて紹介してあり、興味深いものでした。マウスに他の個体の交尾の映像を見せるというAV実験は笑ってしまいました。2025/04/30
subabai
2
動物を比較するにしても、特性や住む環境の違う動物の知りたい情報をうまく比較するための数々の実験にはとても感心する。まず学習させるの十分な時間をかけなければいけないことを知ったが、それが何ヶ月もかかること、場合によってはできないことを知った。 生きるために必要な心の動きは色んな動物にあることがわかった。特にシャーデンフロイデ(人の不幸は蜜の味)が興味深い。一方で芸術を理解することはできないものが多いのもこれに関係するのだろう。 古代のヒトと脳は一緒だが脳に入ったアプリが違うという言葉も響いた。2022/09/24
jackbdc
2
面白かったが消化不良。頁数の割に詰め込まれた内容が濃密。類書に無い視点や事実も述べられており、じっくり掘り下げて考えてみたい内容も幾つかあった。編集の工夫によりさらに面白い構成にできたと感じた。比較認知科学のアプローチにより人と動物の連続性、ハード面(脳)の差異の小ささとソフト面(文化)の大きさを認識することになった。特に印象に残った点、1.記憶力・共感力:人と動物の連続性を見事に感じられた。2.論理力:モンティ・ホール課題に完敗。論理的思考力で鳩に負けるとは驚いた。3.チーズケーキ仮説:初見だった。 2021/01/02
tetekoguma
1
個体識別ができる動物はたくさんいるし、自己を認識できる動物もたくさんいるようです。動物は普通に思うよりもたくさんのことができるようです。この本は、地道な動物実験でわかった知見をわかりやすく解説してくれるもので動物と人間の関係を考える際に重要な知見となります。動物ができることを知ることで人間とはどういう生き物なのか考えることができました。2023/06/30
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