目次
1 歴史の常識(その名は尊し―将軍御印判に刻まれた文字から考える;慶長五年伏見城攻防戦と醍醐寺義演;兼好法師と斎藤基任―『徒然草』第四十段のことなど ほか)
2 こだわりの史実(天皇の忠義―新田義貞「北陸朝廷」の真相;佐竹義重の渾名についての小考;江戸時代の大嘗祭復興の決め手は裏帳簿 ほか)
3 史料と向き合う(戦うお坊さん―東大寺西室院院主顕宝の挙兵;安達泰盛の息子・修道房と霜月騒動に関する一史料;『高野春秋編年輯録』と著者懐英 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クサバナリスト
8
最澄と空海の決別、教科書で並列に記述されている単純な関係ではなかった。こういう話を学生時代して欲しかった。他は流し読み程度で終了。2017/10/19
眉毛ごもら
2
再読。史料から読み取った論文集である。怒って、そっこー!殴り込みがやはり面白い。源義家のご乱行をコミカルにユーモアたっぷりに書いている。郎党が馬鹿にされたら父親の生前葬儀(生きてるけど縁起担ぎ)の最中で、門を鎖で閉じられても壊して相手(※親族)の家を焼き討ちしに行く、部下にとっては頼もしい(が周りが大迷惑)のが、武士の理想だったんじゃないかな!ということで、武士の考えはすごいですね()となる。基本お固めの文体が多い中一服できる感じがまたよろしい。他の項もなかなかお目にかかれないことが多いので大変良い。2020/03/24
六点
2
さて、今回も実に「実直に、誠実に」史料に取り組み続けている小論文を集めた素晴らしい著書である。江戸初期の高野山学侶方と行人方の大規模な(法廷)闘争など、「そんなもん、あったんだ」と、言う浅学な私に蒙を啓いてくれるもの。「霜月騒動」で族滅した安達氏の、たった数行の記録にしか名を留めていない僧侶の運命に哀れを感じさせられたり、「家康の逃げた鷹を探すのを手伝わされて鷹狩をする気を暫くなくしてしまう松平家忠」などの芳醇な史料の「天使の取り分」を味わことができた。細川重男先生のはじけっぷりは一読の価値があるぞ。2018/11/21
Omata Junichi
0
カバーゆるめ。内容は硬派。日本にはたくさん史料があるんだなと感じるし、こういう研究でご飯がちゃんと食べられるような国になると良いなと思うところ。個人的には、『黒田家譜』の史料批判とか、庚申塔が興味深かった。民俗系の人もこういう新書サイズの本をみんなでまめまめしく書くと良いんじゃないかなと思ったけど、自分が知らないだけで既に存在しそうな気がしなくもない。2019/07/27