内容説明
グイドにとって、飢え・孤独・恐怖は生活そのものだ。彼はそれを生きぬいていく、だが彼はけっしてりっぱな少年ではない。うそはつく、盗みやごまかしはする。しかし彼は人間らしさ、人はみな同じ人間なのだという考えをなくさない。だれの心の中にもグイドはいる。しかし大人になるにつれ心の中からグイドは逃げようとする。そんなとき彼を思い出してもらいたい。
著者等紹介
ホガード,エリック・C.[ホガード,エリックC.] [Haugaard,Erik Christian]
1923年デンマーク生まれ。渡米後、英語で創作活動を始める。児童文学のほかに、詩作や劇作の分野でも活躍し、アンデルセンの作品の英訳者としても知られている。2009年死去
犬飼和雄[イヌカイカズオ]
1930年神奈川県生まれ。法政大学名誉教授。2024年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小説大好き
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大戦がテーマの児童文学を読むのは、横浜大空襲が題材の上坂高生『空が落ちてくる』に続き今年2冊目です。両作に意外なほど類似点が多く、読み比べてみるのも面白いと感じました。共に12歳前後の子どもが主人公であり、家族を亡くした少年少女が支え合って生き延びていく構成になっています。終始横浜を舞台にしていた『空が〜』と比較すると、本作はよりディアスポラ的な色合いが強く、まえがきのオデュッセイアへの言及、「馬小屋」「洞窟」といった装置を鑑みれば、恐らく主人公を聖人・英雄と重なるように描く意図があったのではと思います。2025/05/10