内容説明
明治35(1902)年1月、極寒の八甲田山系を踏破する「雪中行軍」に挑んだ2つの陸軍歩兵部隊。一方は全員帰還し、他方は199名の凍死者を出した。著者自らの体験と残された証言・記録を渉猟し、その「成功」と「失敗」の本質から現代の企業・組織にも通じる“教訓”を提起する労作。
目次
八甲田颪―プロローグとして
第1章 「弘前歩兵第三十一連隊」三十八人の雪中行軍記
第2章 「青森歩兵第五連隊第二大隊」二一〇人の雪中行軍記
第3章 青森歩兵第五連隊救援捜索顛末
第4章 「八甲田雪中行軍」の影と栄光と
第5章 「八甲田雪中行軍」エピソード編
「八甲田雪中行軍」が現代に語りかけるもの―エピローグとして
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
くらーく
3
NHKのダークサイドミステリー再放送があったばかり。そうか、120年経つのだね。まあ、199人の死者を出した行軍だからな。訓練でこれだけ死なしちゃねえ。 真実って言葉は信じないのだけど、まあ、本書は比較的一次資料が多いので、その部分は価値が高いのだろう。実際に著者の一人が行った現代の雪中行軍は分かりにくいな。これは、きっと放送されたビデオを見た人向けなのかもしれない。 改めて弘前隊を先導した地元(土人)7人の悲惨さ、捜索隊のアイヌ隊の活躍は、興味深い。北海道からアイヌ隊が出ていたのは、本書が初見だったな。2022/05/06
takao
2
ふむ2022/05/12
A.Sakurai
1
八甲田山登山のついでに「八甲田山雪中行軍遭難資料館」を訪れた.展示の最後の方で行軍指揮官山口少佐の死因についてクロロホルム投与による謀殺説が提示されていた.知らなかったのでロビーにその説を主張する松木明知『雪中行軍山口少佐の最後』が置いてあったのでチラ読み.この遭難事件は新田次郎の小説以降に多数の検証本が出ていて,伊藤薫『八甲田山 消された真実』が有名.他の本ではどうかなと本書を覗いてみたら松木説を推している.資料がかなり残っていて,だからこそ矛盾する言説がどうしても出てくるので解釈に幅が出てくるようだ.2025/10/05