内容説明
「フルトヴェングラーとトスカニーニの間に位置する」と評されたその特異な芸風はどのように形成されていったのか―ドイツを中心にヨーロツパやアメリカで活躍したハンガリー出身の指揮者、フェレンツ・フリッチャイ。戦争、音楽界での対立、そして病…多くの困難に直面しながらも、自らが理想とする音楽を追い続け、その中から特異な芸風を創り上げていった名匠の生涯を辿る。
目次
第1章 幼少期から大学卒業まで
第2章 セゲドで指揮者として活動開始、実力を蓄える
第3章 ウィーン客演とザルツブルク音楽祭デビュー
第4章 ベルリン・デビューとRIAS交響楽団首席指揮者就任(第一期ベルリン時代その一)
第5章 RIAS交響楽団を一流オーケストラに(第一期ベルリン時代その二)
第6章 ヒューストン、ミュンヘンでの活動
第7章 晩年(第二期ベルリン時代)
付章 特に忘れ難い演奏
著者等紹介
大脇利雄[オオワキトシオ]
1958年6月、群馬県安中市生まれ。1982年、筑波大学第一学群自然学類(数学主専攻)卒業。同年日本国有鉄道入社、1987年、国鉄分割・民営化に伴い東日本旅客鉄道株式会社に入社、安全対策部門で16年勤めた後、籠原運輸区副区長、安中榛名駅長を歴任。2011年、JR東日本メカトロニクス株式会社に出向、2019年6月、定年で退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のっち♬
97
ファン歴50年の著者の本職は鉄道屋。詳しい音楽論はフリッチャイの自著に譲り、本書はその生涯を証言や文献の引用と共に時系列で辿る。若くして出世したために彼は音楽家よりも才能を理解できない運営との摩擦に悩んだ。独裁型から協働型へ、新即物主義からロマン主義へ、音源と照応するに転換の兆候は発病以前から見られる。大胆な表情づけはしてきたし、晩年も"トスカニーニより速く大音量で"という若い頃のスローガンが時々顔を出す。この時代の指揮者にしては人当たりも面倒見も良い方。W不倫からの再婚、マニアックな音源紹介も興味深い。2023/04/21
コチ吉
7
晩年その風貌や音楽表現がフルトヴェングラーに酷似してきたと言われるフリッチャイだが、若い頃はトスカニーニを手本としていたらしい。頭角を現してから20年程のキャリアというのはいかにも短かい。マタイ受難曲の演奏を望んでいたそうだが、きっとメンゲルベルクやフルトヴェングラーのような、濃厚ロマン主義の演奏とは異なる名演になったことと想像する。2023/05/06
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