内容説明
「ゴジラ」を生んだ男は、いかにして戦争がもたらす悲劇を見事に大衆映画に昇華する事が出来たのか?助監督時代から初期~晩年の劇映画46作品、また黒澤明氏との交流まで、豊富な資料とともに巨匠・本多猪四郎の業績を体系的に網羅!怪獣特撮映画だけでは見えてこない、本多映画の根底に貫かれた真髄に迫る!
目次
太平洋戦争と助監督修業のはざまで
映画監督・本多猪四郎の誕生
核開発が生み出した恐怖の水爆大怪獣
空想科学映画の作り手として
ミステリアンの悲劇と人類の行く末
核がもたらす人類の終焉、科学がいざなう人類の平和
闇と影にうごめく男女の情念劇
高度成長時代をうたう大怪獣映画と国家的SF映画
一九六〇年代初期の日本と日本人
大娯楽怪獣映画の巨匠
怪獣映画監督の作家性
東宝フランケンシュタインの世界
晩年期における映画監督活動
一九七〇年代から―本多猪四郎の映画が遺したもの
著者等紹介
小林淳[コバヤシアツシ]
1958(昭和33)年、東京生まれ。評論家。1990年代初期より文筆・評論活動を開始し、「キネマ旬報」誌や東宝のムックなどで伊福部昭氏のインタビューを数多く担当する。1998年に初の著書『伊福部昭の映画音楽』(ワイズ出版)を出版。その後も、日本映画に関連した文筆活動を精力的に行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
29
日本アカデミー賞で「シン・ゴジラ」が、作品賞を取った。確か受賞後のインタビューで、特撮作品が、作品賞を取ったのは初めてだとのコメントがあったようだ。この本を読むと、この賞は、本多猪四郎さんにも捧げられたのではないかとも思う。特撮SF怪獣映画というジャンルを創り上げた功績は大きい。特撮映画以外も含めて、本多さんの全監督作品を丁寧に読み解いていく。観る人が喜ぶ映画を創りたいという真摯な姿勢が見えてくる。また、本多作品を観たくなってきた。2017/03/06
たいそ
5
本多猪四郎監督が遺した作品、作品から読み取れる監督の道程。そういえば特撮以外は観ていなかった。映画監督はすべての権限を持っているのかと思いきや、東宝のプロデューサー制、量産体制の下ではそうとは限らない。しかし、どのような作品が来ようと、自分の作品に仕上げる責任感や技量は素晴らしいと思う。そして、モスラでシネスコ画面に東京タワーを収める話など、楽しかった。「どのような類の映画でも人間が無から作り上げるのだから、その人の個性や志向、今までの人生で培ってきたものはどうしても表に出てくる。芸術とはそういうもの。」2017/02/10
MNK2
2
本多監督の軌跡がよくわかる一冊。2016/12/18
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