内容説明
連続企業爆破事件のテロリストとされて死の3日前に本名を明かし逝った。その謎の潜伏生活全容と或る女性。独占入手、桐島聡が書き残した1万5000字の世界。
目次
1 その男、全国指名手配につき
2 数奇な逃亡生活
3 広島から上京、五反田の片隅で
4 東アジア反日武装戦線「さそり」
5 あの夏の日 福山にて
6 桐島が書き残した「もの」
エピローグ
著者等紹介
齊藤寅[サイトウシン]
1962年名古屋市生まれ。週刊誌記者を経て現在、フリー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
131
NHKで紹介された桐島聡の潜伏先は、刑務所の方がずっとマシな廃墟同然のボロ屋だった。こんな場所で数十年も名を偽って孤独に暮らしたのはなぜか、理由を知りたくて手に取った。そこに見えてきたのは社会変革への強い使命感と正義感に囚われた、決めた道を頑固に突き進む不器用な青年だ。そんな普通のノンポリ学生が連合赤軍ほど絶対服従を強要しない左派組織にオルグされ、気安くテロリストの一員となったのか。しかも真実を見つけたと信じたため、半世紀近い逃亡生活に耐えた。おそらく桐島は死に際して、決して人生を後悔していなかったろう。2025/03/05
nonpono
64
桐島聡の最後は鮮やかだ。この最期にわたしはある意味、熱狂した。末期の胃癌で路上で倒れ、本名で死にたいという願いを叶える。桐島聡の名前は知らなかったが、指名手配中のポスターはよく見かけた。思い出したのは、某宗教団体の逃亡犯である。最後は一歩も外に出ずに同居する女性が働いていた。しかし、桐島聡は40年も住み込みで同じ仕事を続け、たまに飲みに行っていたという。信じられなかった。本書を読むと、桐島聡に痕跡がないことがよくわかる。捕まえる方も霧を探すようなものか。支援したのが最初の同棲相手なんて。ドラマチックだ。2025/06/28
いちろく
30
50年弱の逃亡の後、亡くなる3日前に真相を告白して世を去った桐島聡氏のことは、今年1月のニュースだったこともあり記憶にある。いわゆる活動家や学生運動が国内で多くの事件を起こしていたのは、私が生まれる前の出来事でもあり過去の事として本作を眺めたのが本音。一方で桐島氏は当時の活動家にしては異例の前科が一切なかった点で、現場から逃げ切れた時点で刑事や警察側の敗北だったという記載が印象に残る。偽名の内田洋として過ごした日々も、その性格から捕まることは無かった点も衝撃的。死の直前で「桐島聡」に戻った。それは事実。2024/11/11
まぶぜたろう
17
桐島聡が亡くなってわずか半年で出版されたルポ。半年でこんなに取材がまとまるかと思う、情報源も怪しい、「盛った」記述が胡散臭い、ついでに誤字も多い。でも、まいっかと思う。桐島はある工務店に住み込みで40年間暮らしてきたのだという。一つところで隠れもしない、でも出頭もしない。出頭したら煙草も吸えない酒も飲めない好きな音楽も聞けない、だからいろいろ不都合だけど、まいっかと非日常的な時間を自由に生きてきた。逃亡者のようでそうでもない。本書のいい加減な記述はそんな桐島にふさわしい。でも、ま〜、ほとんどガセだね。2025/03/11
モビエイト
4
事件の事は知りませんでしたが、亡くなったというニュースを見て興味を持ちました。 若気の至りで人生を狂わせてしまったのだと思いました。2024/10/24