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内容説明
内部から大津波地震を警告した地震学者が告発!!きちんと対策すれば、福島原発の事故は防げ多くの人たちが助かった。しかし東京電力と国は、対策をとらなかった。いったい、何があったのか?なぜ、そうなったのか?そして、いまも状況は変わっていない。
目次
第1章 東京電力、ウソで保安院の要求を断る
第2章 不都合なる津波評価
第3章 発表を事前につぶす動き
第4章 問題は津波地震、それを隠そうとする愚
第5章 津波や地震に備える必要がない、とは
第6章 津波の予見性
第7章 痛恨、津波マグニチュード8.2
第8章 東京電力が影で動かす『新・津波評価技術』
第9章 陸の奥まで襲う津波
第10章 こうして3.11津波地震の真実は隠された
著者等紹介
島崎邦彦[シマザキクニヒコ]
1946年東京生まれ。2012~2014年原子力規制委員会委員長代理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
92
間もなく3.11超巨大地震・大津波・原発災害から13年。怒りを含んだ過激な題名だが、著者は東大地震研究所教授を長く務められた島崎邦彦先生。元地震学会会長・地震本部長期評価部会長。全て実名を挙げ赤裸々に経緯を記しているが学者らしく冷静な表現。2002年8月「30年以内に20%の確率で日本海溝沿いで津波地震」という長期評価をとりまとめ発表。保安院が東電・東北電力に原発における津波計算を要請するも、東電は策を弄し計算をせず。その後、貞観地震(869年)の調査が進み、東電もその津波(福島第一原発で15.7m)に⇒2024/01/14
きみたけ
63
著者は東京大学名誉教授にして元日本地震学会会長の島崎邦彦先生。津波対策の警告を無視された地震学者自身が、実体験と腹の底からの憤りを赤裸々に書き綴った一冊。国の統治機構を含む「原子力ムラ」が総力を挙げて専門家たちの警鐘を潰し、何の対策もされずに起きた東日本大震災による福島第一原発事故はまさに人災だと指摘。福島原発の脆弱さをかばうため、津波対策が必要となる地震を三陸沖と宮城県沖までとし福島県沖を外すとは。。意味不明です。東電を始めとする関係者のご都合主義に対し腹立たしく感じました。2023/10/30
彼岸花
34
大きな怒りと悲しみ、失望感で読み終えた。よくぞ書いてくださったと思う。これで13年前の3・11は、人災だったことがはっきりした。日本の不可解な集団「原子力ムラ」は、政・官・財・業・学の癒着構造の象徴である。福島県沖での津波地震を想定していながら、何の対策もとらなかった。何と罪深い行為だろう。彼らにとって必要なのは、優秀な地震学者ではなく、自分たちに都合の良い人材なのである。国は「命より金」を優先し、それを裏付けるように、現政権は原発の再稼働と増設を宣言している。復興もまだ道半ばだというのに。⇒2024/03/11
蒼
32
「大事なことは声をあげること、広く声を伝え皆で支えることだ」と著者は言う。東京電力が地震学者や専門家達の報告書を捻じ曲げてまでも福島原発は津波の影響を受けないと言い張った背景には何があったのだろうか。素人の自分には理解できない事ばかりだが、当時そう言っていた人達は今何を思うのだろうか。鬼籍に入る前に2011年3月11日以後何を思い生きてきたのか表明してほしいものだ。2024/01/04
海燕
10
被害予測が示されると、関係機関はそれに基づく対策を取る。対策もタダではなく、時間も予算も必要だ。そこに経済活動が関わると、政治や業界の思惑も絡んで進路が思わぬ方向へねじ曲げられていく。著者は地震学の研究者で、過去の地震を調べ、今後の地震や必要な対策を論じる。だがそれを受け入れると福島第一原発の安全対策を根本から見直さざるを得なくなる東京電力は、抵抗する。それも調査をまとめる事務局と秘密裏に打ち合わせ、報告書の文言を変えるなどして。その内3.11が起きた。批判は簡単だが、自分が東電社員なら抗えるだろうか?2023/04/30