内容説明
祖国のために、一命を捧げる覚悟の若者が時代に翻弄され、人生に懐疑し、変節に激しく抵抗し、気がついたらヤクザになっていた。安藤は花形の凶暴性のなかに葛藤と純粋性を見抜き、花形は安藤に殉じることで男気を貫いた。戦後の渋谷の街を命を賭し、剛力を持って疾走した二人の男の「血と暴力」
目次
第1章 花の雨
第2章 遠雷
第3章 風花
第4章 時雨
第5章 疾雷
第6章 花の雲
著者等紹介
向谷匡史[ムカイダニタダシ]
1950年、広島県呉市出身。拓殖大学を卒業後、週刊誌記者などを経て作家に。浄土真宗本願寺派僧侶。日本空手道「昇空館」館長。保護司。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
28
かつて軍国少年と呼ばれた、防人としてヒロイックに散ることを夢見た二人の青年は、敗戦という絶望を味わい、道を踏み外す。いや踏み外してはいない、我が道を見つけ徹して生きた。戦後の混乱と復興。無秩序なカオスと、ビックバンに似た経済の膨張を伴う時代は、当然裏社会と深い関係がある。拒絶を伴うジャンルと、盗人にも三分の理の擁護と思われても、生き様としての肯定感を禁じ得ない。逆説的ではあるが、死に晒されてこそ、命はより輝くと。2022/03/27
緋莢
15
図書館本。戦後、渋谷で一大勢力を築いた安藤組(株式会社・東興業)を設立した安藤昇と、彼を慕った花形敬を書いたノンフィクションノベル。著者は、安藤組解散後、映画俳優になった安藤昇が立ち上げた安藤昇事務所(九門社)で 〝秘書役”として、長年一緒に過ごした人物。「いらねぇよ。男のケンカは素手(ステゴロ)でやるもんだ」 『グラップラー刃牙』シリーズの花山薫(作品をきちんと読んだことはないですが、キャラクターは知っています)の モデルとしてお馴染みの花形敬(続く2024/10/12
好奇心
0
カタギでない世界、博徒・テキヤ・愚連隊・暴力団 明確の定義はあるのだろうか、安藤と花形、祖国の為に命をとの強い気持ち終戦により、意志のやり場がなくなり、邦人を守るとう義侠心? 新宿・渋谷にそのシノギの場所を求めた、我が少年時代に、横井襲撃事件で安藤・花形の名前は知っていた、映画・ドラマで観るヤクザの世界とは、本で描かれているのとは全く違う印象であった、想像を絶する身震いするくらいのカタギの人間では考えられない世界であった、花形は若くして散り、安藤はこの世界では珍しい畳の上でも89歳の大往生、お疲れ 2022/01/27
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