出版社内容情報
1904年、ヘンリー・ジェイムズは20年ぶりにアメリカを訪れた。商業主義、画一化、機械文明……世紀の転換期にすさまじい勢いで変化する故国を、「不安なる観察者」は鋭い目でとらえてゆく――
20世紀モダニズム文学の先駆者の一人とされるジェイムズの「意識と形式」への美学を、作品と人物像からたどる。
内容説明
1904年、ヘンリー・ジェイムズは20年ぶりに故国アメリカを訪れ、各地を見て回った。商業主義、画一化、機械文明…世紀の転換期にすさまじい勢いで変化するアメリカを、「不安なる観察者」は鋭い目でとらえてゆく―。アイルランド移民の祖父が新大陸で築いた富を背景に、有閑階級となりコンコードの超越主義者たちと交流した父のもと、自由な教育を受け哲学者となった兄、そしてイギリスに渡り作家として成功したヘンリー。新大陸アメリカと旧大陸ヨーロッパという異文化の対立を題材にした「国際小説」で、複数の視点による謎めいた「意識のドラマ」を展開し、20世紀モダニズム文学の先駆者の一人とされるジェイムズの「意識と形式」への美学を、作品と人物像からたどる。
目次
序章 アイルランドから新大陸アメリカへ―ジェイムズ家の三世代
第1章 ヘンリー・ジェイムズの小説理論
第2章 『ロデリック・ハドソン』論―未必の故意の物語
第3章 ロマンスとしての『アメリカ人』―過剰なる想像力の功罪
第4章 『ワシントン広場』の謎
第5章 『ある婦人の肖像』論(1)―自由なる自我の破綻そして描かれなかった結末
第6章 『ある婦人の肖像』論(2)―ジェイムズはなぜラルフを死なせたか?
第7章 『鳩の翼』論―複数の視点が織りなすドラマ
第8章 語りの構造とヒーロー
終章 ヘンリー・ジェイムズのアメリカ―意識と形式の分断
著者等紹介
大畠一芳[オオハタカズヨシ]
1949年茨城県生まれ。1971年茨城大学人文学部卒。1983年筑波大学大学院博士課程単位取得退学。国際ロータリー財団奨学生(デイトン大学大学院1975年~76年)。文部科学省在外研究員(イェール大学1998年~99年)。茨城大学人文学部でアメリカ文学を担当。茨城大学名誉教授。現在聖徳大学兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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