内容説明
研究者自身の姿を隠して客観性を装い、泥臭さをうしなっていく学問的潮流に敢えて棹をさし、「地をはうようなリアリズム」によって人間と人間集団の実相に迫ろうと格闘した研究者たちの記録。
目次
第1部 コミュニケーションの相貌(「不完全」な意志疎通―オマーンの生活世界はかくして成り立っている;私は舌を持っている―イエメンのカート商人の局所的知識;落ちた「子宮」―モロッコ農村部の女性たちの語りの分析;短めの言葉―暴力の経験を語りだす人;商いと人―モロッコのベルベル人に学ぶ非境界)
第2部 地理空間と社会空間(世界に散らばるレバノン系・シリア系移民―グローバル化と移民、出稼ぎ労働者、難民のはざまで;海を渡る聖者の「記憶」―ハドラマウトとインドネシアにおけるハウル(聖者記念祭)を通じて
紛争とともに住むこと―イスラエルとパレスチナの境界)
第3部 時間を超えて(孤高の楽師―「数」を偏愛するベルベル吟遊詩人;小さなメロディーが開く世界―モロッコ)
第4部 象徴のはたらき(「迎合」か「柔軟」か―都市におけるアレヴィーの生き方;かくしてウンム・クルスームはレジェンドとなった―レパートリー深読み;枠物語異聞―もうひとつのアラビアンナイト、ヴェツシュタイン写本試論)
著者等紹介
堀内正樹[ホリウチマサキ]
東京都立大学大学院社会科学研究科社会人類学専攻博士課程単位取得満期退学。学位:文学修士。現在、成蹊大学文学部教授
西尾哲夫[ニシオテツオ]
京都大学大学院文学研究科博士課程修了。学位:文学博士。現在、人間文化研究機構国立民族学博物館教授・総合研究大学院大学文化科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。