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ネガティヴ・ケイパビリティで生きる―答えを急がず立ち止まる力

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  • サイズ 46判/ページ数 288p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784865813753
  • NDC分類 104
  • Cコード C0010

出版社内容情報

「わからなさ」を抱えて生きる方法を熱論!

情報や刺激の濁流にさらされる加速社会は、即断即決をよしとする世界だ。私たちは物事を性急に理解し、早々に結論を出し、何でも迅速に解決しようとする。しかし、それでいいのだろうか。「ネガティヴ・ケイパビリティ」とは不可解な物事、問題に直面したとき、簡単に解決したり安易に納得したりしない能力のこと。わからなさを受け入れ、揺れながら考え続ける力だ。注目の若手論客3人が対話でネガティヴ・ケイパビリティの魅力と実践可能性に迫る知の饗宴!

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リスクや不確実性に満ちた社会を渡り歩くために、大半の人は余計な時間やコストをかけることを避け、身軽で即断即決のスッキリした生き方、悩みや疑いなどないスピード感ある生き方を追い求めています。そういう流れに抗して、私たちはこの本で「ネガティヴ・ケイパビリティ」の価値を訴えようとしています。本書の試みは、濁流の中に「よどみ」を作るような仕事だと言えるかもしれません。激しすぎる流れの中で、魚やその他の水生生物は暮らしを営むことができません。魚などが暮らしやすい環境には、「よどみ」があります。同じことが、人間の生態系にも言えるはずです。何事も変化し続ける社会において「よどみ」は、時代遅れで、回りくどく、無駄なものに見えますが、そういうものがなければ、私たちは自分の生活を紡ぐことに難しさを感じるものです。逆に言えば、この社会に「よどみ」が増えれば、前よりも少し過ごしやすくなります。(「はじめに」より)

内容説明

「わからなさ」を抱えながら生きる方法を気鋭の哲学者たち、熱論!情報や刺激の濁流にさらされる加速社会に必要なのはネガティヴな力!

目次

一回目の対話―2022/04/04(ナラティヴと陰謀論をめぐって;「一問一答」的世界観から逃れる方法―陰謀論、対人論証、ファシリテーション;自分に都合のいいナラティヴを離れる方法―フィクション、言葉遣い、疲労の意味)
二回目の対話―2022/05/07(地球を覆い尽くすアテンションエコノミー;「アイヒマンにならないように自分の頭で考えよう」という言葉に乗れない理由―コンサンプション(消費)、アテンション(注目)、インテンション(意図)
信頼のためには関係が壊れるリスクを負わねばならない―マーケティング、トラスト、脱常識
「言葉に乗っ取られない」ために必要なこと―SNS、プライバシー、言葉の複数性)
三回目の対話―2022/07/16(徳と観察をめぐって;自分のナラティヴ/言葉を持つこと―倫理、相対化、ナッジ;公と私を再接続するコーポラティヴ・ヴェンチャー―関心、実験、中間集団;イベントとしての日常から、エピソードとしての日常へ―観察、対話、ナラティヴ)

著者等紹介

谷川嘉浩[タニガワヨシヒロ]
1990年、兵庫県に生まれる。哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都市立芸術大学美術学部デザイン科特任講師

朱喜哲[チュヒチョル]
1985年、大阪府に生まれる。哲学者。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、大阪大学社会技術共創研究センター招聘教員

杉谷和哉[スギタニカズヤ]
1990年、大阪府に生まれる。公共政策学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得認定退学。博士(人間・環境学)。現在、岩手県立大学総合政策学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゅんさん

47
ネガティブケイパビリティとは何か、読み終えた今もいまいちピンときてません。でもそれでいいと思う。余白やよどみのようなものが(物理的にも精神的にも)今の社会には失われつつある。だからみんなすぐに答えに飛びつくし自信満々の人の言うことを信じてしまう。そうならないためにも余白やよどみみたいなのが大事なのだと再確認できたのはとてもよかった。別にすらすら喋れなくてもいいじゃないか。感想が全然まとまらないけれどでもそれでいいと思う(二回目笑)。これは手元に置いて何度も読み返したい一冊。おすすめ2023/08/20

金城 雅大(きんじょう まさひろ)

22
これもとても良い本だった。 理解した気にならずに、もう何度か読み返そう(笑)2023/07/07

17
【つまり、身近なところで他人との豊かなつながりを持った上で、公共空間に参入しないと、過激な物語にすぐに絡めとられちゃうし、他人との会話もできなくなっちゃう(P.236)】自分の頭で考えろ、自分の意見を持てと迫る加速主義社会(誰が言ってるの?という違和感はひとまず置いておく)。急かされる日常で凝り固まった心身を、慎重かつ即興的な対話が解してくれる。SNS疲れを感じている人や、逆にSNSを始めたばかりで独特の「お作法」に戸惑っている人には、何かしら響く言葉があるはず。2023/07/08

タナカとダイアローグ

16
コロナ禍中に箒木先生の本を読み、ネガティブ・ケイパビリティは重要概念だと思っていた。一般書で馴染みのあった同世代の哲学者たちがキーワードに選んだのはなぜだろう?が気になり購入。あと、先輩がすすめてくれた。自己責任・自己決定をよどみなく・効率的にすることを迫られている。それに疲れてしまっている。一問一答式の切れ味への憧れ(ひろゆきさん)、スライドにまとめて、初学者にわかりやすく伝えるのが頭の良い人(ファスト教養全般)といった風潮が嫌な私。哲学の出番がない、全体主義社会の入り口じゃないかと。複雑を、取り戻す。2024/05/03

chie

16
ネガティヴ・ケイパビリティを重視する立場から見た今の世の中について語り、その意義を見出す、という対談ではあったかなとは思うのだけれど... 身近な話も、そうではない様に思えてしまうのは、解像度が高すぎるのか?まとめ的部分の抜き書き「ネガティヴ・ケイパビリティは、何かに安易な落とし所に考えを落ち着けず、揺れながら考え続けることです。」「逆張り的な過激なナラティヴや、「これで全部いける!」という自己啓発本やビジネス書みたいな煽り、SNSの投稿みたいな祝祭的な華々しさからどうやったら降りられるかという話」2023/03/31

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