出版社内容情報
なぜ、相手の言っていることがよくわからないのか!?
「雑音の中では話が聞きとれない」「口頭の指示は忘れてしまったり理解しにくい」「話を聞きながらメモやノートをとるのが苦手」「話が長くなると、途中から何をいっているのかわからなくなる」――このように「音は聞こえているのに聞きとれない」という症状を「APD(聴覚情報処理障害)」といい、いま注目されている。
APDの原因は次の4つのタイプ(①脳損傷の既往のあるタイプ、②発達障害タイプ、③認知的な偏りのあるタイプ、④心理的な問題を抱えるタイプ)に分かれることがわかってきた。聞きとれずにミスをしたり人間関係がこじれたりなどトラブルを抱えると「自分はダメな人間だ」と責めがちだが、発達障害や脳の認知機能の問題が関係しているのだから、本人のせいではない。APDを生まれながらの特性や個性のひとつとしてとらえ、うまくつきあう方法を考えることが大切だ。まずはAPDについて知り、正しく理解することが重要である。
「聞こえ」のわかりやすい解説とAPD症状例、対処方法などを盛り込んだ、APD第一人者による決定版!オリジナルのAPDセルフチェックシート付き!
内容説明
「聞こえているのに聞きとれない」APD(聴覚情報処理障害)とは?大人のAPDは4タイプ((1)脳損傷タイプ、(2)発達障害タイプ、(3)認知的な偏りタイプ、(4)心理的な問題タイプ)に分けられます。それぞれの要因や状況によって、改善策や対処法も異なってくることがわかってきました。「聞きとり困難」を自分の特性や個性と考えて、うまくつきあう方法を考えることが大切です。
目次
第1章 「聞こえる」しくみ―難聴とAPDの違い(「聞こえる」と「聞きとる」は違う;音とは何か ほか)
第2章 「聞きとれる」しくみ―注意と記憶がカギ(音声をことばとして「聞きとる」のは脳;脳のすごい「聞きとり」能力 ほか)
第3章 なぜ「聞きとれない」のか―APDの4タイプ(脳損傷タイプ;発達障害タイプ ほか)
第4章 「聞きとりづらい」と思ったら―検査とライフハック(「聞きとれない」に気づくのは大人になってから;診断には聴覚だけでなく発達や認知の検査が必要 ほか)
第5章 子どものAPDへの対処法(ことばの学習の基礎は「聞こえる」こと;子どもの「聞きとりにくさ」を調べる検査 ほか)
著者等紹介
小渕千絵[オブチチエ]
1974年、東京に生まれる。立教大学文学部心理学科卒業、東京学芸大学大学院教育学研究科、筑波大学大学院心身障害学研究科修了、博士(心身障害学)取得。川口市立医療センターリハビリテーション科、埼玉医科大学病院小児科などで言語聴覚士として勤務ののち、国際医療福祉大学保健医療学部言語聴覚学科准教授を経て、2020年、同大学成田保健医療学部言語聴覚学科教授。あわせて国際医療福祉大学クリニック言語聴覚センターなどで聞こえにくさの相談・指導などを担当している。APD(聴覚情報処理障害)の研究に20年以上にわたり取り組む第一人者である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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