感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
9
アラン・コルバンの原点といえる著作。博士課程に入った若きコルバンはフランス中央部の畜産が盛んな田舎、リムーザン地方を割り当てられ、オーラルヒストリーを収集する。1866-67年(五月革命の前年)に、1830年代(戦間期、世界恐慌、デフレ誘導政策)の政治的立場についての記憶を尋ねていく。コルバンがどのように無名の人々の歴史を語る歴史家になっていったのか、その方法論を獲得する途上の彼が、どのようにインタビューし、そこから予想外の記憶を引き出すか(イギリス、イタリア、ドイツ人への当時の印象)、臨場感ある読書。2023/10/29
ののまる
7
フランス人、イギリスとソ連に不信感すごいな。2024/05/06
ひるお
0
“感性の歴史家”として知られるアラン・コルバンが、かつて博士論文執筆のためにおこなった調査。それは、リムーザン地方の人々に、歴史上の政治的出来事に対する当時の印象を聞き取るものだった。個人的には、戦争や選挙、政治家などの政治的な物事に関する記憶より、もっと些細な生活の要素を期待していたのだが、(もちろん、“政治的”でない物事など存在しない、あらゆる要素は政治性を免れ得ない、ということは大前提として)人々の記憶や印象が予想外にその後の出来事の影響を受けず、当時のまま保存されていたということに驚かされた。2025/05/13