内容説明
国民1人当り2台近い大量の監視カメラ、メディアおよびネットの統制、警察権力の濫用にもとづく言論・行動の支配の数々、そして、民族主義の扇動による「戦狼外交」と少数民族弾圧―ディストピアSF『セレモニー』に限りなく接近しつつある中国の「今」を激論した往復書簡。
目次
1 作家・王力雄と『セレモニー』
2 「ハイテク専制」―デジタル全体主義の実像
3 完全監視社会―私企業からも情報管理
4 警察の腐敗―「共産党の犬」と公然と自認
5 「人治」の蔓延―特権階級の既得権益と「法治」の喪失
6 言論統制―情報遮断と暴力による弾圧
7 すり替えられた民族主義―扇動される愛国主義
8 戦狼外交―公然たる覇権主義
9 少数民族差別―内に向けられた民族主義の刃
結び―「一党独裁ならば、至る所災いだらけ」
著者等紹介
王力雄[オウリキユウ]
1953年中国・長春市生まれ。作家、民族問題研究者。1978年、文革後最初の民主化運動「民主の壁」に参加、94年には中国最初の環境NGO「自然之友」を創設。2002年当代漢語研究所より「当代漢語貢献賞」、同年独立中文ペンクラブより第一回「創作自由賞」、2003年ヒューマン・ライツ・ウォッチより「ヘルマン・ハメット賞(助成金)」、2009年チベットのための国際委員会より「真理の光賞」、等を受賞
王柯[オウカ]
1956年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。神戸大学大学院国際文化学研究科教授を経て、2021年同大学客員教授・名誉教授。歴史学。著書に『東トルキスタン共和国研究』(東京大学出版会、1995、第一八回サントリー学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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