内容説明
精神科閉鎖病棟の「鍵」を開けた精神科医、山本昌知。患者さんを一人の生活者として、人との関係こそが「薬」となる、と向き合う山本医師と、モザイクをかけない患者さんのありのままを撮影し「精神」「精神0」という「観察映画」作品に結実させた映画監督、想田和弘。生きづらさを感じるすべての人へ。
目次
第1章 歩み(山本昌知の歩み;想田和弘の歩み)
第2章 「鍵」をはずす(一人一人、行動の動機がちがう―初めての赴任先、青山病院で;地域に出ること―医者と患者の関係を変える ほか)
第3章 「人薬」(施設が良い、悪いではなく「行きたいかどうか」;「人薬」―技術でなく、時と場所をともにしてくれる人がいること ほか)
第4章 地つづきの世界(患者さんが亡くなったこと;耐えられるのかと想像すると、相手を尊敬できる ほか)
第5章 “こらーる”という場(一生懸命やれば、周囲がつられることがある;「本人が目的意識をもてない入院は反対」 ほか)
著者等紹介
山本昌知[ヤマモトマサトモ]
1936年岡山県生まれ。1961年岡山大学医学部卒業。岡山県立病院(当時)、尾道市青山病院勤務を経て、1972年に岡山県精神衛生センター(当時)の所長に就任。青山病院時代の1969年から「精神病院の鍵は誰が締めているのだろうか」「どんな意味があるのだろうか」をテーマに、入院患者、看護者と話し合いを重ね、閉鎖病棟の鍵を開ける取り組みを始める。1997年、同センターを希望退職後、無床診療所「こらーる岡山」を開設。同代表を務めた
想田和弘[ソウダカズヒロ]
1970年、栃木県生まれ。東京大学文学部宗教学科卒。スクール・オブ・ビジュアルアーツ映画学科卒。NHKなどのドキュメンタリー番組を数多く手がけた後、台本やナレーション、BGM等を排した「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。観察映画第1弾『選挙』(2007)は世界200カ国近くでTV放映され、米国でピーボディ賞受賞。続く『精神』(08)、『Peace』(10)、『牡蛎工場』(15)、『港町』(18)など、いずれも国際映画祭に招待され、受賞多数。これまでにポーランド、韓国、イタリア、ベルギー、カナダ、中国、香港、台湾など、世界各地でレトロスペクティブ特集上映が組まれている。最新作『精神0』(20)は、ベルリン国際映画祭でエキュメニカル審査員賞を、ナント三大陸映画祭でグランプリを受賞した。2021年、27年間在住したニューヨークから岡山県の牛窓に拠点を移す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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