感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nranjen
5
寝室。人が人生の約3分の1を過ごし、眠るだけでなく、愛し、一人になり、自分の時間を過ごし、死に行く時にも過ごす大切な場所だ。個人の営みが詰まった場所を歴史的文学的資料で紐解いていくのがこの本の試みだと理解した。印象的なのは、共同部屋から一人の部屋を求める労働者の戦いや、女性にとって自分のための空間があることは自立と自尊心を保証となる事実。今もある無数の極小アパートは、それでも個人の自由を現わす空間なのだ。王の寝室の儀礼的性質、ホテルの部屋についての論述も面白い。2022/03/20
Go Extreme
2
王の寝室:王のバラスター 王の寝室付き侍従 ひとめですべてが見渡せる王の寝室 王の病気と死 寝室:k兵頭寝室 共同体のアパルトマン 夫婦の寝室・色彩と装飾・寝台礼賛・寝台の真ん中 個人の部屋:秘密にする権利 ひどりで寝る 作家の部屋 子ども部屋:揺りかごとベッド 包囲される部屋 子どもの体験 夫人部屋:女らしさが部屋を作る 修道院と個室 使用人の部屋 性の閉ざされた部屋 ホテルの部屋:一風変わった経験 労働者の部屋:雑多な生活 大部屋 死の床と病室:病院のベット サナトリウム 戸を閉め切って 束の間の部屋2021/03/18
mob
1
・本書は仏語圏のエッセイであり、「○○の歴史」というタイトルにしてはかなり冗長で、項目によってしばしば文学作品の内容への言及が主になる。興味のある「空間」目当てで、細切れに読むのが良い。 ・ルイ14世の寝室での生活がつらすぎる。大貴族に「いやしいブルジョワどもの長い治世」と言わせる改革の対価は、起床際と就寝際まで詰め込まれた謁見の山だ。簡単に新興勢力を利用した王権拡張、リシュリュー、マザラン路線の継承といっても、宰相なしの親政ではあまりに王自身の犠牲が大きい。2021/10/24