感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
10
バシュラールは科学史を認識問題として捉え、その研究が成功事例のみを扱い形成しつつある誤謬を考慮しないと批判した。著者も認識問題を生成過程において検討する姿勢から、学問の自由を標榜する大学機関が教育格差を再生産し続ける状況を問う。授業評価アンケートによる大学研究は、成功事例のみを扱い、教員の専門知識を学生に伝達するコードを明確にせず、大学以前から専門教育に臨む際の学生個々の教育格差も無視していることを指摘する本書では、そのような場で形成されるアンケートは、取り繕われた「絶望のレトリック」であると批判される。2024/05/19