出版社内容情報
貨幣への際限なき欲望から人間は解放されるのか?
エロス(生)とタナトス(死)の欲動の対立、および貨幣への根源的欲望というフロイトの洞察に基づき、経済成長とは「死の欲動」の無限の先送りだと看破したケインズ。2人の時代から半世紀以上を経て、規制を取り払われた経済活動が全地球を覆い尽くした今、資本主義の「自己破壊」と訣別する方途はあるのか?
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aoya513
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資本主義は自らを破壊し死ぬことを志向している.グローバリゼーションがもたらす危機的状況は死の欲動の暴発した姿ではないのか? p.236 資本主義の力学は,"常に延期されている未来"に至る快楽の延期なのである.それは生の享受を否定して死を密かに招き寄せることを意味する.2019/03/10
猿田康二
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二人の泰斗が今日の破滅に向かってひた走る資本主義社会を当時から鋭く予想しどう主張していたかを解説しながら説いていて非常に興味深かった。経済学に精通した二人の著者が綴っただけあって、新聞の書評で養老孟司氏が指摘したように一筋縄ではいかず、しばらく一日に何ページも進まないストレスのかかる読書であったが、第一次大戦後から世界恐慌を経て、第二次大戦までの時代が驚くほどに現在の世界と似通っていて、訳者あとがきに書かれている通り、現代世界の危機の根源を解読する読者にとって、貴重な思索の素材を提供してくれる書だと思う。2018/03/19