内容説明
「ユーロ解体」こそがヨーロッパを救う。ドイツの極端な一人勝ち、英国の離脱と、EUの動揺が続く中、もう一つの大国フランスこそが果たせる役割とは?グローバリズムと「自由貿易」神話で焼け野原と化したEUの現状に対し、フランスが主導するユーロ離脱と新たな「欧州通貨圏」構想により、各国の経済政策のコントロール奪回を訴える。ブレグジット、米トランプ政権、仏大統領選をふまえた最新論考を「日本語版序文」として収録!「保護主義」論客による最大の問題作。
目次
第1部 商品のグローバル化―その冒険・遭難・結末(世界化の神話と伝説;商品グローバル化の制度は避けて通れないか?;グローバル化は誰に奉仕しているか?;グローバル化の重圧)
第2部 金融グローバル化の進展と限界(ブレトンウッズの失敗;ブレトンウッズ体制の解体から通貨無秩序の進行へ;金融グローバル化を内部から規制できるか?;国際通貨危機とその影響)
エピローグ(現下の危機の行き詰まり;フランスに有利な解とは?)
著者等紹介
サピール,ジャック[サピール,ジャック] [Sapir,Jacques]
1954‐。経済学者、社会科学高等研究院(EHESS)主任研究員。EU・ユーロの問題性を問う一連の著作で大きな話題を呼ぶ
坂口明義[サカグチアキヨシ]
1959年生。専修大学経済学部教授。金融・経済理論が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
57
2011年初出。主権は、人民という政治的共同体を性格づける意思決定の自由によって定義される。人民はこの自由を 国民(明朝太、ナシオン)ないし国家(同、エタ)の枠組みを通して行使する(4頁)。フランス語では、経済のグローバル化のことを、世界化(モンディアリザシオン)と呼んでいる(27頁)。地域の住民を「大きな貧困/大きな不安定」の罠から解放することのできる政策が提案されない限り、「不正取引」に関する政府の態度は両手義的であることを免れない(98頁)。再読して、高校政経の世界経済でも関連する。2018/01/06
スプリント
5
イギリスがユーロ離脱し、ドイツとフランスがユーロを支え続けられるか興味深いところです。金融グローバルの実態とフランスがとるべき指針について書かれています。2017/10/31