出版社内容情報
中世史の泰斗による貨幣論の決定版!
「“貨幣”は近代の産物である」―― 『中世の高利貸』において、K・ポランニーを参照しつつ、“高利貸”の姿を通じ社会に埋め込まれた“経済”のありようを素描した中世史の泰斗が、ついに貨幣そのものを俎上に。宗教との相剋のなかでの貨幣による社会的結合の深化と、都市・国家・資本主義の胎動を描く、アナール派による貨幣論の決定版。
ジャック・ル=ゴフ[ジャックルゴフ]
著・文・その他
井上 櫻子[イノウエサクラコ]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
60
著者は資本主義の成立条件を貨幣の安定的供給と、統一市場の存在、そして証券取引所の成立とみなしています。よって、これら全てを満たさないヨーロッパの中世には資本主義が存在せず、あったのは「愛徳」を重視する贈与経済である、と。その正当性については、私の中世知識では判別しかねますが、「価値」とは何か考える上でヒントをもらったような気がします。貨幣についてもう少し勉強します。2020/07/18
壱萬参仟縁
33
2010年初出。主要テーマ:①経済、生活、心性において貨幣がいかなる境遇にあったか。②宗教が支配的な社会で、キリスト教徒としてあるべき貨幣に対する態度や使途をどう考え、説いたか(表紙見返し)。アルベルトゥスの説教(1263年):貧者に糧を与え、都市を建造物で飾って彩ることの出来る、商人と富者の役割を強調(56頁~)。ゾンバルトの都市の定義:食糧に関して外部からもたらされる農産物に依存する人間集団(71頁)。ヨーロッパの銀貨に対して、アフリカの金貨(90頁)。2016/05/29
人生ゴルディアス
4
『中世の高利貸し』は、結局まともな利率なら悪とみなされないよとトマス・アクィナスが言った、程度の理解しか出来ず、本の内容が薄いのか、それとも自分に読解力が無いのかと思い、改めてル・ゴッフが貨幣について書いたという本書を読んで思ったけど、ル・ゴッフは哲学的に弱いところがあるのではなかろうかと思った。中世において貨幣は現代的な意味とは違い、富とは権力のことである、というのはほほうと思うが、なんか思想的な土台があやふやなんだよな・・・。一足飛びに感じるというか。ために、結論もどこか重みが無い。2016/02/20
rymuka
0
読書録あり → http://rymuka.blog136.fc2.com/blog-entry-64.html2018/08/27