出版社内容情報
ソ連崩壊やアメリカの凋落、アラブの春を予言したトッドとは何者か? 国・地域ごとの家族システムの違いや人口動態に着目し、ソ連崩壊やアメリカ凋落、アラブの春、ユーロ危機や移民・難民問題など数々の歴史的変化を予言してきた歴史人口学者エマニュエル・トッド。トッド自身が語る自らの学問的背景と各著書について、フランスの今、世界の行方、そして震災後の日本。今世界で最も注目される人物を理解するための最良の一冊。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
34
著作を軸に語られるトッドのインタビュー集「人生には複数の意味=方向があり、人生は、心地よく、素晴らしいものですが、一つの意味=方向があるわけではありません。無意味の中に意味があるのです。不合理なものと多様性があって、それが『無意味』的要素を司るわけです」「人々は適正な条件の下で生きるために生きているのです…私は、適正に楽観主義者であるのです」民主主義へのこういう冷静で自信をもった楽観を私は支持する。リスクを取らずに安直な悲観論に逃げて、未来への明るいヴィジョンを示せないことは知識人にとって怠慢と堕落である2017/02/22
壱萬参仟縁
32
日本にとっての根本的な問題というのは、アメリカは必要な同盟国である。日本には重要な文化がありますので、文化的差異に対するアメリカの不寛容は耐え難い(41頁)。文化はさまざまに異なるという事実。世界の異なる地域で、生存に意味を与えるためのさまざまに異なる手段を発見(42頁)。本書の目的:伝統的な人類学的基底を確定し、個人の集団への統合の度合を測定すること。近代性をどのように説明するかを突き止めるため(48頁~)。2016/03/20
nbhd
17
(1)驚いたこと→トッドさんと、レヴィ=ストロースは遠縁の親戚だそうだ。トッドの祖母とクロードが「またいとこ」。家族集団を対象に、一方は構造主義の提唱に辿り着き、他方は人口統計の識字率や出生率を変数として普遍的進歩を唱える。(2)わりと感動したこと→トッドさんは、2011年の8月に岩手沿岸から福島・南相馬市を訪れている。トッドさん撮影の南相馬市の水没したバスの写真は、なんだか胸を打つものがあった。(3)素敵だなと感じたこと→あとがきにある、あのインタビューは失敗だったと翻訳者みずから反省しているところ。2023/08/22
yooou
11
☆☆☆☆★面白かった。とてもためになった。しかし何より震災直後の東北を訪れていたことをずっと後になって知るというのはほんと残念としか言いようがない。日本を東北をここまで認知してくれている事は返す言葉もないほどありがたい話なのだけど、それが共有できないもどかしさには本当に自分の至らなさに失望というか、残念というか・・・。もっともっと頑張らないと思う次第であります2017/06/06
ネコ虎
7
トッドの専門分野については、インタビューでは理解不能。歴史人口学者とのことで、乳幼児死亡率、出生率、識字率の変化が社会を動かすとのことのようだが、よくわからない。現実のフランス社会やEU、ユーロ問題については、やや具体性が出てきて、少しは理解可能となる。ただし、現代フランスの状況は日本にほとんど伝えられていないし、かなり政治、経済、宗教等複雑な様相を呈しているようで、トッドの言説は一筋縄ではいかない。しかし、トッドの誠実さ、真摯さ等の人柄のよさは、震災直後の東北訪問時の発言でも覗える。新著を読む参考になる2016/01/26
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