出版社内容情報
中国よ、どこへ行く?
リベラル・マルクス主義からコミュニタリアニズム、社会民主主義、民主社会主義、さらにはリバタリアニズムまで視野に入れている現代中国のリベラリズムであるが、一元化された独裁的権力のコントロール下で「反体制派」として一括りにされ、一部しか日本に紹介されてこなかった。その多面的な全体像を、中国国内外で活躍している主要なリベラリストの論文、日本人研究者の関連テーマの論文から浮かび上がらせる。
[跋]子安宣邦
徐友漁/栄剣/張博樹/劉?/許紀霖/秦暉/張千帆/周保松/及川淳子/梶谷懐/王前/水羽信男/緒形康/福本勝清
石井知章[イシイトモアキ]
編集
子安宣邦[コヤスノブクニ]
著・文・その他
感想・レビュー
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BLACK無糖好き
10
中国における現代思想としてのリベラリズムの全体像を描いた学術研究書。本書は新左派とリベラル派の対立軸の浮上にも重点が置かれている。日本国内においても新左派寄りの柄谷行人の中国帝国擁護論と、対する子安宣邦や梶谷懐らの対抗言説が存在している。又儒教との関連で、毛沢東による人民公社決議は漢帝国の道教集団である五斗米道の革命プランが発想原点との考察も目を引いた、この根底には儒教の共産主義化を試み欧米資本主義文明への対抗(中華思想に基づく大国としての中国の復活)があると見られる。重厚でやたら中身の濃い一冊。 2016/06/19