出版社内容情報
半世紀にわたる全句を一挙収録!
詩人であり、作家である石牟礼道子の才能は、短詩型の短歌や俳句の創作にも発揮される。この半世紀に石牟礼道子が創作した全俳句(『句集 天』を含む)を一挙収録! 1950年代、既に歌人としての才能を現していた石牟礼道子は、その後、水俣病とのかかわりや俳人穴井太との交流のなかで、短歌の詠嘆性に別れを告げ、俳句に思いを託すようになる。70年代からの全213句を収録。
内容説明
半世紀にわたる全句を収録!幻の句集『天』収録!
目次
天
玄郷
水村紀行
補 創作ノートより
著者等紹介
石牟礼道子[イシムレミチコ]
1927年、熊本県天草郡に生れる。詩人。作家。1969年に公刊された『苦海浄土』は、水俣病事件を描いた作品として注目され、第1回大宅壮一ノンフィクション賞となるが、辞退。1973年マグサイサイ賞、1993年『十六夜橋』で紫式部文学賞、2001年度朝日賞を受賞する。2002年度は、『はにかみの国―石牟礼道子全詩集』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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燃えつきた棒
26
11日に、石牟礼道子卒寿記念フェスティバルが東京である。 そろそろ僕も、石牟礼道子に、ミナマタに向き合うべき時が来たようだ。 ミナマタは終わらない。 フクシマは終わらない。 それは、人が人を踏み付けにして生きてきたことの証だ。 それは、人が人を喰らって生きていることの証だ。 2017/03/07
michel
14
★4.8。何のために書いているのか、何のために生きているのか…という深い絶望の中で石牟礼さんが放った言霊。どの句も「人間の罪」を嘆きつつ、空や海や命や神々といった霊感のおののきを私たちに気づかせてくれる。深い悲しみの果てに、天への祈りと希望の光をもたらしてくれる。どれも秀句だが一部紹介_◆祈るべき天とおもえど天の病む ◆死におくれ死におくれして彼岸花 ◆人間になりそこね 神も朝帰る ◆離人症の鬼連れてゆく逢魔ヶ原 ◆にんげんはもういやふくろうと居る2020/01/25
allite510@Lamb & Wool
11
圧倒的な言葉の数々を前にして、感想など成り立つような気がしない。ただみぞおちを歩みくる「角裂けしけもの」を注視し続け、「また棄てるのか、また棄てるのか、また棄てるのか」の問いに「棄てません、できるだけ、できるだけ」と一生かけて答え続けるしかないのだろう。日本語の力を知りたいと思うなら読んだらいいのではないかと思う。苦海浄土を読んでからがいいと思いますが。2018/07/02
田舎暮らしの渡り鳥
4
うん、いいね。2019/12/23
真竹
3
あまりにも有名な一句「祈るべき天とおもえど天の病む」といい、すべての句が水俣へ繋がっているような印象を受ける。以下、好きな句を抜粋。 前の世のわれかもしれず薄野にて / いかならむ命の色や花狂い / ことばなきは豊けし幾億の昔来る / 潮の満ちくる海底へゆくねむりかな / 空のすみまでふるえて虹の青一絃2017/06/03