出版社内容情報
海は人類最後の聖地
韓国を代表する詩人・高銀と、世界文学『苦海浄土』の石牟礼道子が、海に思いをめぐらせながら、日本と朝鮮半島のこと、詩とは、文学とは、そして人間とは何かについて、魂を共鳴させながら語り尽くした、奇跡の三日間の記録。
【著者紹介】
高 銀(コ・ウン,Ko Un)1933年韓国全羅北道生。韓国を代表する詩人。道で拾ったハンセン病患者の詩集を読み,詩人を志す。朝鮮戦争時,報復虐殺を目撃,精神的混乱に。その後出家,僧侶として活躍するが,還俗し,投獄・拷問を受けながら民主化運動に従事。2000年6月の南北会談に金大統領に同行,詩を朗読。著書に詩集・小説・評論集等150余巻。邦訳『祖国の星』(金学鉉訳,新幹社)『華厳経』(三枝壽勝訳,御茶の水書房)『「アジア」の渚で』(吉増剛造との共著,藤原書店)『高銀詩選集 いま,君に詩が来たのか』(青柳優子,金應教,佐川亜紀訳,藤原書店)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アムリタ
10
この世界に感じていることは希望などではなく絶望だ、と石牟礼礼子も韓国の詩人、高銀も言って憚らない。 詩人は真実の声で詠うのが使命であり、この二人はそれを全うしている。 深い深い絶望の闇をみつめるからこそ、どうしていくことが希望に向かえるのかを識るのだと思う。 全文が光のことば。2020/11/30
hatohebi
6
韓国の詩人・高銀(1933~)と日本の作家・石牟礼道子(1927~2018)の2005年に行われた対談録。『苦界浄土』で1927年の朝鮮窒素肥料株式会社設立に言及していることから分かるように、水俣病と日本の植民地主義は密接に絡み合っている。原田正純は「戦後、植民地を失った日本の資本は、九州を植民地代わりに高度経済成長を支えた」と述べた(『豊かさと棄民たち』)。本書冒頭では両者の若かりし日に触れた日本人・朝鮮人の思い出が語られており、軍国主義や植民地主義と離れた所で心の交流があったことが分かる。2023/08/27
ハルトライ
2
石牟礼道子がだいぶアレな人だというのは、有名なことだが、その人と韓国の作家が対談!?大丈夫!?と心配になるが、そこは心配無用。なんと、向こうもそっち系の人で、完全に二人とも意気投合。それぞれ二人とも勝手にいろんな主張を喋りまくって、同意しあったり、微妙に話が通じてなかったりするけど、どのみち、どっちも言ってることは完全にアレでしかないという。アレすぎて普通の読者はついていけない。当然、僕もついていけない。「でも、まーそういう人だからしょうがないかー」と苦笑いするしかない一冊。2015/12/10
Prussian_Blue
2
石牟礼道子の名前を久々に見たので借りてみたが失敗。対談記録で、対談相手の高銀は本書が日本で出版されることをきっちり意識してか、日本に対しても女性の話においてもPC的に正しく振る舞っていていたが、石牟礼道子この人大丈夫?毒親、フェミニズム、児童労働といったトピック全てにおいてお花畑なスピリチュアル()発言炸裂させてたけど…えーっこんな人だったのか。苦界浄土や詩集は素晴らしかったのに。でもそうか、もともと彼女は憑坐であって、けして現代的な知識人ではなかったと捉えればまあ納得。E2015/05/14