出版社内容情報
戦後レジームでもイデオロギーでもない、戦後社会の”カルチャー(AKB・春樹)"から日本の反知性主義を読み解く!
内容説明
AKB48・村上春樹・宮崎駿―知の怪物と気鋭の精神科医が、カルチャーから日本社会を読み解く!
目次
第1章 AKB最終原論(橋下批判とパラレル;アベノミクスも宗教 ほか)
第2章 『つくる』の解釈に色彩を持たせる(核となる灰田の物語;『つくる』で描かれた死者の視点 ほか)
第3章 『風立ちぬ』の「ふやけたファシズム」(百田尚樹とは位相が違う;堀越二郎の縁戚者に映画を見せた ほか)
第4章 日本にヒトラーは来ない(日本でファシズムが起きるとしたら…;北朝鮮のファシズム ほか)
著者等紹介
佐藤優[サトウマサル]
1960年、東京都生まれ。作家
斎藤環[サイトウタマキ]
1961年、岩手県生まれ。精神科医(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いろは
22
『半知性主義とファシズム』タイトルからして固い内容で読みにくそう。そこに、知の巨人である佐藤優のさらにお堅い語り口を精神科医の斎藤環で和らげる。さらに読みやすい対談式。さらにさらに、話題はAKB48と村上春樹と宮崎駿などなどで柔らかくて面白い話題。だからだろう。一言で言えば、タイトルの割には、固くなくてとても面白かった。雰囲気で言うと、知識人もしくは教養人の読書会と映画会。書末の佐藤優の『おわり』にて、『知的に興奮する対談だった。』と言うように、お二人の知性が溢れていた。ここまで語れる知性に感心していた。2018/07/24
緋莢
21
佐藤優が危惧する「反知性主義」と親和性の高い、斎藤環の「ヤンキー論」。そんな二人がAKB48、村上春樹、宮崎駿などを軸に日本社会 そして、ファシズムについて読み解く。2015/09/08
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18
偶然にも『色彩を持たない多崎つくる…』を読んだ直後で、『風立ちぬ』も観賞済み。というわけで解説本として楽しく読めた。村上春樹さんが描こうとしている「底知れぬ悪」とは果てがあるのだろうか。「春樹を読んでいない奴は読書家じゃない」というのも悪意だし、「春樹なんか知らない、興味ない」と吐かれる暴言も猛毒だ。そんな毀誉褒貶が渦巻いて膨張する中、当の村上さんだけはただ淡々と、それでいて熱く物語を紡ぎ続けるんだろうな。2018/06/27
Nobuko Hashimoto
17
ご両名の読書量や批評の幅広さと深さに感嘆しつつ、ちょっと予想と外れた感あり。第一章のAKBに関する若手社会学者の新書批判は元の著作を読んでないのでサッパリわからなかった。二章、村上春樹『多崎つくる』は読んだのだが印象が薄くて、これもピンと来ず。三章アニメ「風立ちぬ」は両者の評価の食い違いぶりが面白かった。作品を観ていないので適切かはわからないが、佐藤氏の評の方が共感できた。最終章でようやくタイトルのテーマが掘り下げられるのかと思ったが、さらっと終わっている感じ。ここをもっとふくらませてほしかったなあ。2016/01/12
鳩羽
15
AKB、多崎つくる、「風立ちぬ」など、話題になった文化とその背景にある作り手の意図を探っていくうちに、反知性主義とファシズムが出てきた、という印象で、所々で笑えるような気軽さもある対談。反知性主義と親和性が強いとしても、作者やプロデューサーが非インテリという訳ではない。そこに企みがないからといって、政治的に利用されないとも限らない。日本にはファシズムは起こらないだろうが、もっと嫌なものが醸成されているのかもしれないという不安が残る。2015/07/09