出版社内容情報
本稿は、東京都公文書館に所蔵されている高野家文書の紹介を中心に、江戸伝馬役・名主役の役割を、主として町とのかかわりにおいてまとめたものである。表題は、「日記言上之控」所収年代に焦点をあて、『元禄の町』とした。それは、史料の内容が、一七世紀後半の町を多面的に解明することを可能にしたからである。また、元禄時代が、都市江戸の歴史の上で、一つの転換点として注目されており、この時代を解明することが江戸研究の上で意義あることと考えたからでもある。
近年、都市江戸の研究は著しい進展をみている。江戸市制についても、幸田成友氏の業績や後藤新平『江戸の自治制』を発展させる研究が発表されている。しかし、庶民の立場から、江戸市制をみようとする場合、解明すべき点は多々ある。高野家文書の紹介が、こうした研究の前進に貢献し得れば幸いである。
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/01soumu/archives/0604t_kiyo28.htm