出版社内容情報
はしがき
都史紀要シリーズの四二冊目、『江戸の広小路-その利用と管理』をお届け致します。本シリーズは前巻から仕様と構成を改めましたが、本書もこれを踏襲して、第Ⅰ部 史料編・第Ⅱ部 調査研究編という構成になっています。
江戸には広小路とよばれる一般の街路より幅広く作られた街路がありました。その多くは火災の延焼防止のため「火除明地ひよけあきち」として市中の各所に設置されたものです。主なものとしては小川町・外神田・両国・江戸橋・永代橋西詰・新大橋西詰・西久保・芝愛宕下・宮方門前・芝赤羽・浅草・本郷筋・上野・白山・元岩井町・長崎町などを挙げることができます。
これらの広場は、本来的には火除地としての機能をもちますから、恒久的な建造物は建てることができませんでした。しかし、往来の激しい橋詰や、多くの参拝者を集める寺社門前に設置された広小路には、移動や撤去の可能な床店が建ち並んで商品の取引が行われたり、市場が形成され、また大道芸のほか、葭簀張で囲われた小屋での芸能興行が行われるなど、盛り場として発展した場所も多かったのです。
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/01soumu/archives/0604t_kiyo42.htm