内容説明
「奈良の大仏」で知られる毘盧遮那仏(盧舎那仏)を教主とする大乗仏教の精華『華厳経』には何が説かれているのか。インドで成立した『華厳経』の内容、中国・朝鮮での華厳教学の形成、日本における華厳宗の展開について概説し、さらにその思想の現代的意義や仏教美術史的・文化史的影響について多角的に論及。多彩にして豪華な華厳研究者らによる14篇の論考。
目次
第1章 『華厳経』とその美術(『華厳経』とその教え―「入法界品」を中心にして;『華厳経』の美術―インド・ガンダーラを中心に;『華厳経』の美術―奈良時代の東大寺を中心に)
第2章 中国の華厳(中国華厳の形成―その光と影;中国華厳思想の展開―社会変容に伴う問題意識の変遷)
第3章 新羅の華厳(他人の仏でなく、自体仏を拝せよ―新羅華厳宗の実践的性格;新羅・元暁における華厳と浄土)
第4章 日本の華厳とその美術(写経から『華厳経』関係経典の普及を考える;日本における華厳宗の展開;東大寺の論義―華厳宗の論義;中世東大寺における講説―浄土往生をめぐる議論を中心に;鎌倉の華厳;高山寺の美術)
特別講演録 華厳思想における現代的意義