内容説明
日本の「常識」に衝撃を与えたベストセラー『日本人とユダヤ人』の作者と、「異常体験」にもとづく日本陸軍四部作をものし、戦後論壇に独自の地位を築いた作者は、なぜ峻別されなければならないのか。「日本教」「空気」等の鍵概念を提示して「日本と日本人」を問い続けてきた「山本日本学」の深層に迫る。
目次
1 「前史」―異例の日本人(歴史のなかの山本七平;山本七平の戦後;はじめに『日本人とユダヤ人』があった)
2 作家の自立―「日本軍」とは何であったか?
3 戦後思想の異例(異例の日本人;「賢者」と呼ぶにふさわしい人;「常識」の人;ジャパン・アズ・ナンバー1の思想)
4 山本七平の歴史論―革命の歴史哲学(『日本的革命の哲学』(一九八二)―『御成敗式目』
『現人神の創作者たち』(一九八三)―勤王思想の由来
『日本人とは何か。』(一九八九)―自前の歴史
『昭和天皇の研究』(一九八九)
「歴史としての聖書」)
著者等紹介
鷲田小彌太[ワシダコヤタ]
1942年、札幌市生まれ、札幌南高、大阪大学文学部哲学科卒、同大学院博士課程満期中退。75年三重短大講師、同教授を経て、83年札幌大学教授(哲学・倫理学担当)。2012年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽん教授(非実在系)
2
ベンダサンは、山本がベンダサンとして別人格を与えた存在であるという。それは、フィリピンの山中での壮絶な撤退戦を経験した日本教徒キリスト派としての山本と、そうでないベンダサンという違いがある、という説はまあ確かに、と思う。 メディア知識人の中では頭の回転は遅い方であったが、故に変な抽象化・秀才病にかからずに等身大の社会を観察することができた人物として山本を評価できよう。2017/01/08
kgbu
0
やっと読み終えた。最初は山本七平とベンダサンの関係にのみ期待していたのだけれど、日本における天皇とキリストの位置関係、山本七平の戦争体験など、日本を透視するとっかかりを沢山読み取ることができた。 ただし、すべては紹介されているテキストを読み込んでからなのだけど。 そして、読み終えたとしても我々がいるのは山本が到達した地点からすでに一ひねりあとの世界であって、さらにその後を透視するにはパースペクティブを自分で引き直す、もしくは誤ることを恐れずにトライする備えをしなくてはならないのだろう。2017/02/12
Shun'ichiro AKIKUSA
0
勉強になるところはあったが、、、2017/01/31