内容説明
「草木などの植物も仏になる」という草木成仏論は、いつ、どのように生まれてきた思想なのか?―それは単なる「自然の賛美」でもなければ、「日本古来の自然観」でもない。平安時代に注目され、議論されてきたその思想を根拠から問い直し、自然との向き合い方を再考する。
目次
第1章 「山川草木」と「草木国土」
第2章 草木は自ら発心・成仏するか―安然『斟定草木成仏私記』の世界
第3章 草木成仏説の基礎付け―安然の密教思想と草木成仏
第4章 日本人の自然観と草木成仏
第5章 自然と災害を考える
付 現代語訳『斟定草木成仏私記』
著者等紹介
末木文美士[スエキフミヒコ]
1949年、山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、国際日本文化研究センター教授。専門は仏教学、日本思想史、比較思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田蛙澄
1
草木成仏が日本に顕著な思想というのは知っていたけど、安然については全く知らなかったので、草木成仏が密教的な真如観を背景に持つ思想ということがを知れてよかった。 また斟定草木成仏私記の和訳を読んでると、そもそも草木が無情だから成仏しないというインド的理解と、成仏する有情の主観に対する客観=環境として随伴的に成仏するというあくまで認識論的な理解と、一切は真如で三身を伴っているのだから有情だけでなく無情もそれ自体発心し成仏するという存在論的理解がせめぎ合っていて非常に熱い著作だった。2023/01/09
くらーく
0
宗教と言う名を借りた人の生き方は、風土に影響されるのだろうか。そんな事を思ったり。2016/01/23