内容説明
坂本龍一が語る―ピアノとピアノ音楽、音楽の本質。「作曲家もピアニストもわざわざ音が消えていってしまうピアノを選んで、何百年もその減衰に抗おうとしつづけているというのは不思議なものだなと思いますね」最後に演奏した楽器、ピアノへのアンビヴァレントな思いを語る第1部と、じつは謎に包まれているピアノのルーツを探求する第2部で構成。坂本龍一選曲のプレイリストと音源ガイドも収録。
目次
第一部 静かで弱い音楽へ―ピアノという楽器と音楽を語る 坂本龍一 聞き手:伊東信宏(坂本龍一の選曲リスト;「響き」への関心;壊れた美学の衝撃;「ピアニストになろうと思ったことはないんですよ」;練習で弾く曲 ほか)
第二部 ピアノの起源を探る 坂本龍一×上尾信也×伊東信宏(ピアノはどこからやってきたのか?;鍵盤楽器の歴史を体験する―国立音楽大学楽器学資料館を訪ねて;ピアノをめぐる壮大で自由な旅へ;最初期の鍵盤楽器―水圧オルガン「ヒュドラウリス」;「叩く」「引っ掻く」から「止める」へ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
40
ピアノという素材(楽器)を通して、坂本龍一さんの思考・思想の変遷が伝わってくる。よりシンプルに、より自然に、より根源にというところへ至る。それは、坂本龍一さんの作品や言葉として残っている。それに、繰り返し触れることで気づくことも限りなくあると思う。モノ・コトの根源への道程。2025/03/01
RuiRui
2
P29、チェリのくだりで禅的、音響を聴いてるって発想はなかったな。 P53-54ドビュッシーはもやっとしてる、という点、ベヒのハッキリした音を好んだとベヒ自身の宣伝に載ってるが、フランソワみたいな演奏と違い、ポリーニやABMは構造が見える演奏するタイプだけど、でもそれ以前に耳が良くて響きを作った上でのストラクチャーなのかもしれないと読んでいて思う。インティメイトな発想。クラヴィコードは自作キットもあるよね。 改めて、坂本龍一は引き出しの多い人で、その上で取捨選択してる、『教授』と言われる所以である。2025/05/28